自由研究教材として今も現役のカブトエビ


 しかし国内で繁殖が下火になったこともあり、カブトエビは子どもの理科の教材からいったん姿を消した。代わりにシーモンキーやおばけえび(ホウネンエビ)などが選ばれているが、1990年代半ばに輸入雑貨「トリオップス(※カブトエビの学名)」として販売されたことをきっかけに、かつて育てた大人たちの間で人気を集めた。

 その後、再び子ども向け教材として再登場し、2010年に休刊する前の『2年の科学』付録にも再登場している。いまでも前出のキット以外にも「エビ伝説」(日本動物薬品)や「ヒーリングラボ トリオプス」(タカラトミー)などがある。

 子どもの理科の教材だったとはいえ、カブトエビの卵を孵化させ、飼育するのは難しかった思い出を持つ人も多いだろう。小学校低学年には、難しい教材ではないだろうか。

「温度や光など、卵を孵化させて育てるには色々な条件が必要です。けっこう難しいところもあるので『カブトエビ飼育・観察キット』には、カブトエビが卵から生まれてくる条件をかなり細かく書いた冊子をつけました。小学校1、2年生だったら保護者の方と一緒に、小学校6年生くらいなら自分で調べながら取り組める教材です。運が良ければ卵を産むので、次世代のカブトエビを育てることもできますよ」(前出・土舘編集長)

 子どもの自由研究のためといいつつ、20年以上前の失敗を取り返したい保護者がカブトエビに夢中になることもありそうだ。

●撮影/佐々木浩之

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