ビジネス

マック復活への厳しい道筋 「物語のある味」を作り出せるか

マック復活への道は?

 不調のマクドナルドが打つべき手とはなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が語る。

 * * *
 日本マクドナルドHDが2015年度12月期の中間決算を発表した。売上高は852億円と前年同期比29.5%減、営業利益は前期35億円の黒字だったのが、182億円の営業赤字に転落した。当然、各メディアの論調は一様に厳しかった。日経は「回復の芽も」、東洋経済は「実は復調の兆しが」という見出しを打ったが、いずれも「底を打った可能性がある」という程度で、「回復」「復調」への道筋は依然として厳しい。

 もっとも日本だけでなく、マクドナルドの売上は世界的に下がっているという。アメリカでも、今年の1~3月期の純利益が前年同期比で33%減という大減益。さらに言うと、マクドナルド以外のファストフードも軒並み厳しい。店舗数数千レベルのチェーンで現在好調なのは、タコスなどのメキシカンファストフードチェーン「タコベル」くらいのものだろうか。

 いっぽう、業態として世界的に好調なのが「ファストカジュアル」だ。「価格はファストフード以上、ファミレス以下」「新鮮で高品質素材」「手作り感のある料理」「厳選されたメニュー」といった特徴がある。日本ではモスバーガーやフレッシュネスバーガーが相当するのだろう。もっとも流行以前から、日本には「ファストカジュアル」の条件を満たす店や品はいくらでもあった。

 たとえば、鶏のからあげを出す店。先に挙げた「新鮮で高品質」などの条件を「ファストカジュアル」以上に満たし、しかも価格はファストフード並……というか、さらにリーズナブルな価格設定。大分県の宇佐・中津などでは「コンビニ以上にから揚げ店が多い」「KFCが進出しても、すぐ撤退」という話がまことしやかにささやかれる(※ 実際にはKFCは中津に90年に出店→95年撤退。97年再出店したゆめタウン中津店は現在も営業中)。

 鶏のから揚げ様の食べ物に限っても北海道(ザンギ)から新潟、長野、名古屋、四国など、全国に上記条件を満たす食べ物はあるし、そのほかにも地域に根ざしたファストフードはたいていの町にあった。全国に名を轟かせる特別な名物はもちろん、近所の精肉店のコロッケや串カツ、町のパン屋の惣菜パン、和菓子屋のいなりずし……。交通インフラが整わない頃から、「新鮮で高品質素材」「手作り感のある料理」「厳選されたメニュー」は日本では必ず地域のなかにあった。

 そもそもマクドナルド的巨大ファストフードチェーンは、ビジネスモデルとして東西冷戦と経済格差、そして右肩上がりの経済成長が前提になっていた。東西冷戦というフィルターを通して見ればアメリカを中心とした西側諸国の自由の象徴だった。モノクロームな「壁の向こう側」をよそにカラフルな高揚感が生活を鮮やかに彩った。そして西側の自称中流階級のブルーカラーに満足感を与え、マクドナルドはチェーンとしての存在感を向上させていった。

 だがソ連が崩壊し、ベルリンの壁が粉砕されて冷戦は終わった。ゆっくりとではあるものの、世界はひとつの方向に収れんしていくのだろう。あんなにもキラキラとしていたマクドナルドは、東側という「モノクロの貧困」という相対軸を失うとみるみるうちに色褪せていった。暗く、寒い「東側」を向こうに、壁のこちら側で輝きを放っていた資本主義の象徴は、灼熱の「テロ」を目の前にして、とたんに身の置きどころを失ったように見える。

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉県の工場でアルバイトをしていた
【ホテルで11歳年下の彼を刺殺】「事件1か月前に『同棲しようと思っているの』と嬉しそうに…」浅香真美容疑者(32)がはしゃいでいた「ネパール人青年との交際」を同僚女性が証言
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン