芸能

フランスで一番有名な日本人は全身ピンクのあのコンビだった

「フランスで一番有名な日本人」レ・ロマネスク(マキシシングル『祝っていた~』のジャケットより)

 全身ピンクの衣装を着ているもっとも有名な日本人コンビといえば、日本では林家ペー・パー子夫妻である。しかし、フランスでは意外な“全身ピンクコンビ”の名前があがるのだ。コラムニストのペリー荻野さんが“フランスでもっとも有名な日本人”について綴る。

 * * *
 初めて観たときは、てっきりお笑いコンビかと思ったレ・ロマネスク。なんたって、目の前に現れるのは、全身どピンクの王子様風衣装に、顔にはくるるんヒゲでトランプのキングみたいなTOBIと、相方はやっぱりどピンクに巨大金髪アフロ、唇が白く無表情のMIYAである。

 初見でこのふたりを「11年間パリで活躍し、ヨーロッパのクラブシーンやフェスティバルで人気を博し、『フランスで一番有名な日本人』になったポップデュオ」だと見破るのは、無理ってもんである。ついでに言えば、ジェーン・フォンダと「パリ国際映画祭」の公式マスコットとして広報大使も務めてもいる。「マスコット」という言葉が妙にしっくりくるのがミソですな。

 そんなレ・ロマネスクは、2011年から日本に拠点を移し活動中。びっくりしたのは、NHKEテレの『お伝と伝じろう』のメインキャストを始めたことだった。国語の「聞く」「話す」など言語活動のヒントが満載のこの番組。もちろんここでもふたりのナイスな外見はそのまま。毎回「始まりは自己紹介」「しっかり聞く」などのテーマが、パリからやってきた異質な転校生伝じろう(TOBI)と三人のこどもたちと語り合いながら進められる。

 たとえば「今日は句会」の回では、俳句が五七五で構成されていることや季語があることなど基本を伝授。こどもたちからよい反応が返ってくると、伝じろうはつけまつ毛の目をしばしばさせながら、「トレビア~~~ン!」と叫ぶのだ。

 こどもたちのどんなにユニークな言葉でも懐深く受け入れるTOBI。そっかー、どピンクもくるるんヒゲも伝じろうならではの個性を伝える手段なのね、と感心していると、横にはお人形のように無口なお伝(MIYA)が。なるほど、言葉を発しなくてもちゃんと伝わることもある。無理して愛想笑いもボケも突っ込みもしなくてよし! なんだかじーんときた。

 そして、番組の締めくくりは、テーマ曲『伝わレレレ』である。ああ、♪伝わレレレのレレレが頭から離れない…。暇さえあれば時代劇を見ている私が、まさかどピンクデュオにしてやられるとは思ってもみなかったが、やっぱり面白いのである。

 そして、彼らの初の著書『レ・ロマネスク公式ガイドブック ジュテームのコリーダ』(扶桑社)もやっぱり面白いのである。著書の表紙までもピンクでまぶしいというのは、いったいどういうことか。著書によれば、トランプのキングかと思っていたTOBIは慶応大学卒業後、入社した会社が次々倒産、人生をリセットするために一番興味のない国に行こうと渡仏し、気が弱くて断れないままにポップな活動を続け、今に至る二児の父であるという。そしてMIYAは、ドラァグクイーン(男性)と間違われるが、「女装した女性」であることもわかった。

 この夏のツアーでは、0歳から80歳までの来場者があり、みんな笑顔で歌い踊ったという。ライブ追っかけ女史の話では「会場はピンクだらけ」「謎の一体感がある」。だいたいライブって、夜だけだと思ったら、彼らはお子様も参加できるよう昼間もやってるのだ。未就学児童は無料! 素晴らしい。みんなで踊レレレ。目に見えるようだ。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン