百歩譲って一院制の早期導入が難しいとすれば、合区のような意味のないことをやるくらいなら、参議院の選挙制度改革案として以下の三つを提言したい。
【1】アメリカの上院のように都道府県ごとに1人または2人ずつ地域代表を選ぶ。女性の政治参加を進めるため、フランスの県議会選挙のように候補者を必ず男女1人ずつのペアにしてもよいだろう。それなら参議院議員は男女同数で合計94人となる。
【2】道州制を導入して道州ごとに選ぶ。すでに衆議院の比例代表は11ブロックで道州に近い単位になっているから、それに合わせて全国を11の道州に分け、道州ごとに10人ずつ選ぶとすれば合計110人だ。
【3】全国区で選ぶ。「良識の府」として天下国家を論じられる知識や経験を持った人を選ぶには、できるだけ広域から選んだほうがよい。ただし、この場合は組織票を持っている医師会や労働組合などのインタレストグループ(利益集団)の候補者や知名度の高いタレント候補者が強くなってしまうので、それを避ける仕組みや有権者の高い意識が不可欠となる。
この3案の中からあえて一つを選ぶとすれば、【2】の道州ごとに10人ずつ選ぶ方法がベターだと思う。
ちなみに、そうなれば衆議院は比例代表を廃止し、小選挙区だけにして地域代表を徹底させればよい。いっそ約30万人のコミュニティ単位で270くらいの選挙区に分け、人口比例で細かく組み直すのも一手だろう。
今回の「合区」のように、哲学も何もなく単に人口比例の帳尻合わせをしても意味はない。問題は、現行の選挙制度の下で当選してきた国会議員たちには、それを自分の不利になるような制度には変えられない、ということだ。つまり、選挙制度はひとたび作ってしまうと、変更が至難となるのだ。しかし、そのハードルを乗り越えない限り、この国は永遠に変われないのである。
※週刊ポスト2015年9月11日号