いまや回らない回転寿司が主流に(鮨ノ場)


 確かに、この鮨ノ場は、既存のかっぱ寿司とはまったく異なるコンセプトを掲げている。まず、1号店が東京・青山という都会のど真ん中、今後の出店予定も浅草、原宿、渋谷……と、郊外から都市型へのシフトを進める点だ。

 山下氏は「この10年、回転寿司は100円均一、大箱(大型店)にこだわるあまり、都市部や繁華街への出店が進まず、未成熟だった」と都心攻略の理由を語る。

 もちろん、都市型店舗は立地がいい分、賃料の高さがリスクにもなる。そこで、鮨ノ場は利益率を高めるため、店舗面積をかっぱ寿司の5分の1以下(80平方メートル~)、1皿当たりの価格は120円~420円と均一にせず、客単価をかっぱ寿司より高い1500円に設定した。

 また、山下氏が強調したのは「回らない回転寿司」という点だ。

 いまや、回転寿司でも回っている寿司には手を伸ばさず、寿司職人に直接注文する客は多い。そのため、高い廃棄率が課題となっていた。そこで、オーダーした寿司を直接テーブルまで届ける「高速レーン」の導入を取り入れるチェーンは多い。もちろん、鮨ノ場も2段の高速レーンとタッチパネル注文で、徹底した効率化を図る。

 かっぱHDは今後、鮨ノ場の都市部出店を急ピッチで拡大させ、2019年度までに100店舗を達成したいと鼻息も荒いが、既存のかっぱ寿司を超える業態に躍進するのか。外食ジャーナリストの中村芳平氏はこうみる。

「一度、痛んだかっぱ寿司のブランドのまま、郊外店をいくらスクラップアンドビルドしても、客の流れは大きく変わらないでしょう。そう考えれば、新業態で都心部を攻める戦略は有効です。

 ただ、スシローなど同業他社のみならず、すかいらーくのようなファミレスも都心回帰の戦略を取ってきていますし、都心部の客層は郊外店舗とは大きく異なります。サラリーマンや女性、高齢者まであらゆる客層を満足させる戦いは容易ではありません。

 ただ、コロワイドは『アトムボーイ』や『てっかまる』など回転寿司業態も持っているので、食材の共通仕入れができます。また、寿司以外のサイドメニューも総合居酒屋のメニューをアレンジできる。巨大な外食グループの力をうまく引き出すことができれば、安定した経営軌道に乗せられると思います」

 かっぱの改新は本物か。回転寿司業界の今後の動向とともに注目したい。

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