国内

元少年A 太田出版が準備したアパートを偽装工作に利用か

 手記『絶歌』(太田出版)の発売と、週刊誌宛への手紙の送付、自身のホームページの開設とさまざまな動きを見せている神戸連続児童殺傷事件の犯人・少年A。そして、動向を追う中で明らかになったのは、少年Aが2冊のパスポートを取得していたという事実。発行地は東京、2冊とも同じ日に取られたことがわかっている。

 公安は、Aが医療少年院を退院した2004年から、彼を監視対象下に置いていたという。警視庁関係者は語る。

「その後、2008年に“再犯の恐れなし”と判断して、いったん監視をやめています。しかし、今年1月にAの手記出版計画が『週刊新潮』で報じられて、公安は慌てた。再度Aに関する調査を始めたところ、パスポートの2冊取得など不可解な行動が明らかになり、改めてAを監視することになったんです。

 その捜査の過程で、もう1つAの疑惑が浮上しました。彼は住所の“偽造工作”をしていた疑いがあるのです」

 Aは手記発売の直前に都内アパートに引っ越したが、その住まいを用意したのは、『絶歌』の版元である太田出版の岡聡社長だった。

「Aは執筆活動を今後続けるためにも住まいを用意してほしいと岡社長に懇願していたようです。Aの願いを受けて岡社長は都内のあるマンションに一室を用意した。それでAは4年間暮らしていた浜松市の6畳一間のアパートを引き払い上京したそうです」(Aを知る関係者)

 しかし、公安関係者によるとAがパスポートを申請した住所は、実際生活を送る拠点とはまったく別の場所だったという。住民基本台帳法により、住民票はその時点で生活実態のある場所に置かなければいけない。

 公文書偽造問題に詳しい長瀬佑志弁護士がこう語る。

「仮に架空の住所で住民票を申請したとすれば、『公正証書等不実記載罪』に当たる可能性があり、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

 もちろんこれは形式的な考え方で、ただちに罰則となるケースは少ないのではないか。一般的なケースでも一人暮らし後も実家に住民票を置きっぱなしのかたも少なくありませんから」

 ただし、Aが故意にこの行為をしたとするならば大きな問題だ。2冊のパスポート、虚偽の住所は、明らかに違法行為であり、過剰に世間から身を隠そうとするその裏には、次なる犯罪の可能性を否定できないからだ。

 公安は今日も、Aの行動確認を続けている。

「彼の生活実態から、どの違法行為でAを任意同行するか、検討を重ねているといいます」(前出・警視庁関係者)

 そのとき、Aの“ゲーム”は終わる。

※女性セブン2015年10月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン