が、走り出してしばらくすると、雲行きが変わった。
「このシート、とっても気持ちいい!」
表面に小さな穴がたくさん開いている本革シートが、いたく気に入った様子。実はこれ、NXの高級グレードのみに設定されている「運転席・助手席ベンチレーション機能付き本革シート」である。表面の小さい穴からエアコンの冷気が噴き出てくるので、夏はサラッと涼しい。
「えっ、そうなんですかぁ!? すごい!」
いきなり美女の目が輝き出した。女性はオッサンの30倍肌触りに敏感だと言われる。この本革シートは、シートヒーターも内蔵されている冷暖房完備型。恐らく冬は冬でバカウケの予感がする。モテを狙うならブランドよりシートにこだわれ、ということか?
その他に智美ちゃんが反応したのは、ダッシュボードの丸形の時計と、木目の高級感だけ。クルマにうとい美女は、全体よりも細部に反応する。我々オッサンはついクルマ全体にばかりこだわってしまうが、美女を落とすなら、快適装備にこだわるべきなのだ!
ちなみにこの冷暖房シートを手に入れるためには、最上級のバージョンLかFスポーツ(ともに556万円)を買う必要がある。価格はプラス64万円。世の中甘くない。
※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号