したがってもともと北方系である韓国の女性が、背が高くすらりとして美人が多いというのは理由はある。ただ冒頭のような日本人旅行客の評にはこういうことにしている。
「いや、韓国では美人はソウルの都心に集めてあるのでそう見えるんですよ」と。
韓国では昔は企業が女性従業員を採用する時は、条件として「身長160cm以上、体重50kg以下」と堂々と応募用紙に書かれていた。これがなくなったのは民主化で女性差別にうるさくなった1990年代以降のことである。
それでも今なお暗黙のうちにこうした“条件”は存在する。採用サイドのホンネは「女性は美人がいちばん」だという。つまり女性の場合、最大の採用基準は容貌見てくれなのだ。買い手市場である大企業ほどその傾向は強い。したがってIDカードをぶら下げる大企業や人気企業が集中している都心には、美人が多いのだ。
どこの国、どの民族でも美人の比率は限られている。ではそうではない女性はどこにいるのか。多くの在韓日本人が言うことだが、彼女たちは街はずれや地方にいる。筆者の経験でも「韓国の地方には美人はいない」いや「少ない」。この首都と地方の地域格差はことのほか著しい。
※SAPIO2015年11月号