韓国女性政策研究院の「韓国社会で最も深刻な差別は何か?」というアンケート調査によると、最も多かった回答は「学歴・学閥の差別がある」で3割にものぼった。
中でもソウル大は特別で、大手500社のCEOの26%が同大出身(高麗大15%、延世大9%)だ。会社に入っても「ソウル大とそれ以外」で出世の階段が異なるのが現実である。
アカデミックな分野でも学閥がのさばる。ハーバード大学やスタンフォード大学など海外の超難関大学で同じ博士号を取得した人がいた場合、SKY以外の大学卒よりも、SKY卒のほうが帰国後に出世のチャンスが多いという。
「日本では短大を出て国立大学の教員になる人もいるが、韓国ではほぼありえない。事実、ソウル大学の教授はほとんどが同大学出身です」(崔氏)
工業高校、商業高校など実業高校で専門知識を学んでも卒業後に就職せず、大学に進む若者が非常に多い。
「大卒の肩書がないと世間から差別されるからです。韓国人は手に職があっても世間の目を怖れて大卒という肩書をほしがる。李氏朝鮮時代の両班(ヤンパン ※注)以来、文官が重宝され、職人など体を動かす仕事が軽蔑されるという差別意識も根っこにあります」(崔氏)
【※注:李氏朝鮮王朝時代の身分社会で最上位の階級とされた人々。官僚の職をほぼ独占した】
韓国の新韓銀行では、個人融資の際の信用度を点数化し、高卒者13点に対し、大学院卒者54点と4倍の差をつけていたことが分かった。高卒者は信用度が低く評価され、融資拒否や不利な高利融資の対象となったという。
さらに、韓国の婚姻届には学歴を書く欄が設けられている。それによって受理されないわけではないが、学歴が韓国社会全体で強く意識されていることを物語っている。
※SAPIO2015年11月号