1986年、ロッテの大エースだった村田兆治の趣味・特技欄には『読書、不動産研究』と書かれている。野球一筋に思える村田だが、記者が丹念に取材した結果、ファンは『不動産研究』という意外な一面を知ることができた。また、野手に転向してレギュラーに挑戦していた愛甲猛の欄には、「レコード鑑賞、テレビゲーム、パチンコの出る台を見つけること」と三段落ちのような記述がある。前出・記者が続ける。

「昔は選手よりも記者のほうが強かった。今、立場は完全に逆転してしまっている。どちらが良いということはないでしょうけど、選手に気を遣い過ぎて彼らにとって都合の良い情報しか載せないのでは記者の存在意義がない。『選手名鑑』もギリギリのラインで攻めてほしいものです。球団関係者や首脳陣が、選手全員のことを正確に把握するのは無理。その際、『選手名鑑』は貴重な情報源なのです」

 昔の『選手名鑑』のように、記者が事細かに取材した結果をそのまま書いていれば、巨人の野球賭博3選手の『趣味・特技』欄には賭け事を匂わす記述があったかもしれない。事実、福田の野球賭博が発覚した際には、「大のギャンブル好きとして有名」というスポーツ紙の報道があったのだ。

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