国内

家でもできるおでんの美味しい作り方 老舗店主が7か条を紹介

浅草の老舗おでん店「大多福」5代目の舩大工栄さん

 大正四年創業、東京・浅草の下町で愛される『大多福(おたふく)』は、入り口の大きな提灯が目印。五代目・舩大工(ふなだいく)栄さんが3日かけて仕込む大根は美しい飴色に透き通り、噛むとじゅわっとだしがあふれ、ほろりと崩れて消える。店ではタネごとに仕込みをし、最後に大鍋で合わせて煮る。さすがにこの職人技は真似できないが、家庭で使えるコツはないかうかがった。

「まずは、量をたくさん作ること。ひとつひとつの具材からそれぞれ違うだしが出て、なんともおいしい味わいになります。少ない材料で作るなら、肉のうまみが出るウィンナソーセージと香り豊かなしょうが天の2つは必須。これだけで不思議とおでんらしい味に仕上がるんですよ。みなさんが失敗する原因のひとつは圧倒的につゆが少ないこと。たっぷりのつゆで作れば、煮崩れしにくくなります。あらかじめ多めに作っておけば、煮詰まっても注ぎ足せるので、味も変わりにくいですね。

 さらに、味がしみにくい、大根、卵、こんにゃくの3品は、やや面倒かもしれませんが、前日に下ごしらえをしてください。このひと手間で味が変わりますよ」と、湯気の向こうで笑顔を見せた。そんな舩大工さんに、ポイントを7つ教えてもらった。

【その一 味がしみるのは冷めるとき】

 冷めるときに具材に味が入るので、味がしみにくい大根、こんにゃく、卵は前日から仕込みをしましょう。下ごしらえ後つゆで煮て、そのまま一晩置いて冷ますと味が中までじっくりしみます。

【その二 酒は隠し味 角が取れ丸くなる】

 酒を加えるとつゆの味が丸くなり、それぞれのタネのうまみを引き出し、いい仕事をしてくれます。量はだしに対して1割弱が目安。しっかり煮切ってください。

【その三 つゆの黄金比は7:1:1】

 つゆの比率は、だし:みりん:薄口しょうゆ=7:1:1。やや薄く感じたら、あとは好みでしょうゆや塩、顆粒だしなどを足して調整してください。

【その四 肉はスジよりウィンナを】

 牛スジを柔らかくおいしく煮るのは、時間もかかるし、難しい。でしたら、肉のうまみが簡単に出る粗びきのウィンナソーセージを入れてください。肉のうまみが詰まった、皮つきのものがおすすめです。

【その五 味を決めるしょうが天】

 店では使いませんが、家庭のおでんにはぜひ入れてほしい。しょうが天が加わるだけで不思議とおでんの香りが立つ。最近はスーパーであまり見かけないですが、練り物店などには必ずありますよ。

【その六 練り物は食べる20分前に入れよ】

 練り物から出る甘みはおでんの味を深くします。うまみは練り物の表面から出るので、煮る時間は20分ほどで充分。煮すぎると練り物自体のうまみがつゆに流れ出てしまい、薄くなります。

【その七 はんぺんはのせて温めればよし】

 はんぺんは煮込むとふくれた後、ぺちゃんこにしぼんでしまいます。ふわふわの食感を味わうには、食べる直前に鍋に加え、ひと皿目を食べている間に温めるくらいがちょうどいいんです。

撮影■今清水隆宏

※女性セブン2015年11月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン