利上げ後は一時的に株価は下がるが、そもそも利上げはアメリカの景気回復を意味する。やがてそれも克服し、円安による株価の再上昇が期待できると戸松氏はいう。
「海外売上高比率の高い円安メリット銘柄の中でも業績などのいいシマノ(7309)やアルプス電気(6770)、富士重工業(7270)、ヤマハ発動機(7272)などを調整局面で仕込んでおくといいでしょう」
一方、経済アナリストの豊島逸夫氏は「12月説」を否定する。
「中国をはじめ世界経済の減速傾向がある中、自らの首を絞めるような利上げはできない。FRBには利上げをして異常なゼロ金利状態から脱し、金融政策の自由度を確保したいという中央銀行のプライドがあるが、それを率いるイエレン議長は優秀なエコノミストであっても肝心の決断ができない。
決断を下すためには、減少したアメリカの新規雇用者数が20万人を上回る状況が再び2~3か月維持され、設備投資や消費マインドに持続的回復基調が見られたりすることが重要で、早くても来年3月辺りが妥当な線でしょう」
そしてこう警鐘を鳴らす。
「日米欧がこぞって金融緩和することで『流動性パーティ』ともいうべきマネーのお祭り騒ぎが続いてきましたが、中締めも視野に入る。個人投資家もあまり欲を出さずに、できるだけパーティ会場の出口に近いところに陣取っておくべきです」
※週刊ポスト2015年11月13日号