地元のタクシー運転手(50才)がつぶやく。
「父親は龍飛崎の漁師で9人家族で育ったんだ。家には一升瓶のしょうゆが常に6本ストックされていた。おやつはきゅうりさ半分に切って、種ば取ったくぼみにみそをたっぷりのせてかじりついていたなあ。今の子はそこまでしねえびょん。家内も青森出身だけんど、刺身を食べるときは小皿のしょうゆをつけるだけだ。でもオレは刺身にしょうゆをぶっかけて食べるべ」
青森市内の中華料理店店主(43才)も濃い口派だ。
「青森県民は“しょっぱ口”だべ。昔、長距離トラックの運転手をしてていろんな土地に行ったけんど、各料理に自分でしょうゆを足してたもんな(苦笑)。じっちゃん、ばっちゃん譲りだからしょうがねえびょん。晩酌も親譲りで毎晩、たんげえ飲んるはんでな(たくさん飲んじゃうね)」
厚生労働省によると、青森県で1日1合以上を週3日以上飲む男性は51.6%で全国平均35.9%よりかなり高い。
都道府県の統計資料を集めたサイト「とどラン」を運営する久保哲朗さんが指摘する。
「青森県の全国インスタントラーメンの消費量は全国1位で、外食費用は最下位です。雪が多いこともありますが、家の中で漬物など保存食を食べながらラーメンやお酒をたしなむ県民性がうかがえます」
実際、青森市内のスーパーを訪れると、広いスペースにインスタントラーメンが山積み。糖分の多い缶ジュースを“箱買い”する人も多かった。
続いて青森を中心に展開するラーメンチェーン店を訪れると、卓上には塩加減が足りないときに投入する「つゆ」が置いてある。スープとしょうゆの濃度から6種類に分かれたラーメンのうち、最もあっさりしたタイプを食べてみたが、それでも塩気は充分。食べ終えた後、水が無性にほしくなった。
周囲を見渡すと、ラーメンに「つゆ」をインし、スープをグビッと飲み干す人も。長野のそば屋とは対照的な光景が広がっていた。
青森が短命な理由はこれら「食」だけでない。「自然環境の厳しさも関連する」と指摘するのは白澤抗加齢医学研究所所長で医学博士の白澤卓二さんだ。
「人間の体は紫外線を浴びるとビタミンDを作り出します。ビタミンDは骨粗鬆症や乳がんを予防する働きがあり、不足すると免疫力が低下して風邪やインフルエンザにかかりやすく、うつ状態にもなりやすい。
青森は日照時間が短く紫外線が少ないため、さまざまな病気になりやすく、うつによる自殺も多い。ビタミンD不足で気分が落ち込み、酒やたばこに手を出す人も多いとも考えられます」
ちなみに対照的に長野は日照時間が長く、健康が促進される。全国平均約1814時間(1914年)のところ、佐久市は2234時間だった。
※女性セブン2015年11月19日号