国内

行き場失った墓石の安置所が大忙し 「墓じまい」の急増が背景

持ち込まれた7万基の墓石を安置する不動院(広島県福山市)

 広島県福山市。山陽新幹線「福山駅」から車で30分、山道を抜けると目の前に整然と並んだ無数の墓石が現われる。行き場を失った墓石を格安の1基2500円で引き取り、安置する宗教法人・不動院である。

「安置する場所を確保するために山を整地しても、すぐに持ち込まれた墓石で埋まってしまう。イタチごっこです」(三島覚道住職)

 背景にあるのは、少子高齢化社会の加速だ。少子化で先祖代々の墓を守る後継者が激減、高齢化で親も子も年老い、墓参りもままならない家庭が急増した。

 やむなく墓を撤去し、遺骨を永代供養の合葬墓に移す「墓じまい」が全国各所で行なわれている。2013年度にはその数約8万8000件にのぼり、10年間で29%増加した。

 引き取り手のない墓石は通常、石材店から専門業者に渡り砕石された後、道路整備などに再利用されるのが一般的だ。

 ところが、墓石が不法に投棄されるケースも急増している。雑多な種類の石を処分する件数が増加したことで粉砕コストが高騰したためだ。

 淡路島南端の山中には、数千基ともいわれる「墓石の墓場」がある。すべて不法に投棄された墓石で、7年前に発覚して以降、手つかずのままだ。

「どんな事情があってもお墓が捨てられるのは悲しいこと。できる限り引き取り、祀り続けていきたいと思っています」(三島住職)

撮影■佐藤敏和

※週刊ポスト2015年11月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
悠仁さまの「加冠の儀」に出席された雅子さま(時事通信フォト)
《輝きを放つシルク》雅子さま、私的な夕食会で披露した“全身ゴールド” ファッション専門家「秋を表現された素晴らしい一着」
NEWSポストセブン
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
クイズ企画が人気を集めている『新しいカギ』の特番が放送される(公式HPより)
《1コーナーから2時間特番に》『新しいカギ』「高校生クイズ何問目?」が高校生から高い支持 「純粋にクイズを楽しめる」「負けても納得感」で『高校生クイズ』との違いも 
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン