【物忘れ】財布の置き場所が時々わからなくなる。
「どこかに置いたこと」がわかっていれば、加齢が原因の“良性”の物忘れ。
【認知症】財布をどこにしまったかを忘れ、それを「誰かが盗んだ」など人のせいにする。
これは「もの盗られ妄想」と呼ばれ、認知症の典型的な症状のひとつだ。エピソード記憶の障害に加え、物忘れをしている自覚がない「病識の欠如」も併発していると考えられる。
【物忘れ】スーパーなどの大きな駐車場で車を駐車した場所を思い出せない。
【認知症】駐車時、白線からハミ出してしまう。
前者は中年になれば誰しも経験するありがちな物忘れだが、後者は認知症障害でよく見られる「視空間認知」機能が低下している可能性がある。自分の体と外界の位置関係の間合いを測る機能のことで、人ごみの中を歩いていても、他人とぶつからないのは視空間認知のおかげだ。車の運転でいえば車幅感覚が狂ったり、あるいはテレビのリモコンが上手く操作できなくなるケースは視空間認知の低下が疑われる。
※週刊ポスト2015年12月11日号