──「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」という部分も注目されました。「戦争責任を否定している」との批判も出ています。

松竹:日本政府としての責任は別にして、若い世代が直接謝罪を続けなくてはならないはずはありません。だから、別に悪いことを言っているわけではないと思います。しかし、そもそも朴槿惠大統領も韓国の世論も、日本の若者に「謝れ」などとは求めていないわけです……。誰もそんなことは求めていないのに、何を当たり前のことを言っているんだろう、という違和感は残りますね。

 一方で、どこの国の若者でも、自分の国の過去からは逃れられないという側面はあるんじゃないかとも思います。もちろん、それが単に悪いこと、不幸なことかといえばそうとも言い切れない。

 自由と民主主義を標榜して第二次世界大戦で「悪」の日本を打ち負かしたはずのアメリカが今世界でやっていることを見れば、過去に「勝利した」がゆえに国としての歴史観が歪んでいくという側面も確実にある。だから、別に謝罪すべきだという話ではないけれど、若い世代がそれぞれに過去から学び、自分たちの生き方に生かしていくということはとても大切なことだと思います。(続く)

◆松竹伸幸(まつたけ・のぶゆき):1955年長崎県生まれ。一橋大学卒。ジャーナリスト・編集者。かつて日本共産党政策委員会で安全保障と外交を担当する安保外交部長を務めるも、自衛隊に関する見解の相違から2006年に退職。現在は、「自衛隊を活かす会」、正式名称「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」(代表は元内閣官房副長官補の柳澤協二氏)の事務局も担っている。

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