毎回、園遊会に出席する招待客は2000名前後になりますが、宮内庁が発送する招待状は約2500名にも及びます。欠席される方は、高齢、病気、遠方などの理由です。
選出方法は、中央の各省庁が推薦する約2500名分のリストが宮内庁に提出され、宮内記者会(宮内庁の中にある記者クラブ)にも同じリストが届けられます。記者たちが手分けして、その年に活躍した人物で特に懇談内容をマイクを付けて報じたい人を約10名に絞り込み、宮内庁に記者会の意向を伝えます。宮中行事や式典を司る式部職から長官官房を経て陛下をお世話する侍従職を通して両陛下のお手元に届けられます。そのリストをご覧になられた両陛下が最終決定をされるのが、“特別誘導者”と呼ばれる人々です。
特別誘導者には、宮内庁が事前にお知らせすることはありません。当日、病気や天候不順などで欠席することもあるからです。そのため当日、招待客が入る赤坂御苑の4つの門に宮内庁職員を配置し、10名のリストの中から5番目までをその場で、「本日、陛下とお話しする場所をご案内します。メディアに映像と音声で紹介されますので、ご了承願います」と話して、メディアが取材待機する前の位置に誘導するわけです。すると、必ず陛下とお話しすることができることになります。もしも5番目の方が欠席していたら、6番目の方を誘導します。
関係者の話によると、5番目までに入れなかった特別誘導者にも配慮はあるそうです。陛下が退出へ向かわれる”お道筋”の最前列で待つことになるからです。そこで陛下とお話しする機会を設けるわけですが、歴代の式部官長によって十人十色やり方が違うと言われているようです。
【プロフィール】神田修一(かんだ・しゅういち):1935年東京生まれ。九州朝日放送を経て、テレビ朝日にて1978年から宮内庁担当。1995年の退社後、フリーの皇室ジャーナリストとして活動。
※SAPIO2016年1月号