ここからが本題で、今回の経団連の「採用選考に関する指針」ですが、時期に関する項目以外の部分が重要です。同時に発表された『「採用選考に関する指針」の手引き』においては、選考活動における留意点として、選考を授業やゼミ、実験、教育実習などの時間と重ならないような設定とすることや、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用なども含めた工夫を行うことなどがあげられています。
また、大学等の履修履歴(成績証明書等)について一層の活用を検討することが望ましい、と表記されています。もちろん、これは罰則があるわけではなく、語尾をみるとわかるように努力目標のようなものになっているわけですが、少なくとも姿勢としては学業に対する配慮の色が強くなっているといえます。
もっとも、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用を推進すると言いつつ、これを厳格に運用しようとすると、採用担当者の仕事がブラック化するのではないかという懸念もありますが。まあ、採用担当者は体力勝負で、選考期間は連勤状態になり過酷なのですけどね。
特に大学等の履修履歴を活用する選考は、単に学業重視というわけではなく、この方が「やらざるを得ないこと」に対する行動特性がわかるのですよね。アルバイトのことを劇的に語られるよりマシだということで。
今後も時期に関する議論は続くと思いますが、時期だけではなく、このような学業をいかに尊重するか、出会い方をどう変えるかという議論が今後盛り上がることを期待しております。