移民国家のアメリカでも、排外的な主張が強烈な存在感を見せている。来年の大統領選に向けた共和党の候補者レースを独走する不動産王のドナルド・トランプ氏である。

 これまでも「(メキシコからの)不法移民の大半は違法薬物ディーラー」「私が大統領になれば国境に万里の長城を築く」といった発言を繰り返してきたが、ここにきてイスラム教敵視を鮮明にしている。

 12月2日にカリフォルニア州の福祉施設で起きた銃乱射事件で容疑者の2人の男女がイスラム過激思想に共鳴していたことを受けて「イスラム教徒の入国を全面的に禁止すべきだ」と発言。ホワイトハウスは激しく非難し、共和党の議員からもブーイングを浴びたが、支持率は落ちていない。中岡望・東洋英和女学院大教授(アメリカ政治思想)はこう指摘する。

「少し前に訪米した時のことですが、テレビのニュース番組は彼の演説ばかりを流していて、相当な盛り上がりでした。アメリカではもともと、反エリート主義が根強い。賃金が上がらない中産階級以下の白人ブルーカラーの欲求不満を、トランプ氏は強烈な個性をもって代弁している。だから過激発言を繰り返しても支持層は離れません」

 トランプ氏が「色物候補」「失言ですぐに脱落する」といわれながら、ここまで共和党候補者レースのトップを走り続けている所以だ。

※週刊ポスト2015年12月25日号

関連キーワード

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン