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マンション広告ポエムに過剰コンプライアンスの波押し寄せる

 最近、折り込みチラシやネットなどで見かける高級マンションの広告コピーがすごいことになっている。現象にいち早く気づき、広告コピーを“収集”してネットなどで記事を配信しているのがカメラマンでライターの大山顕氏だ。大山氏が、その特徴と、「名作」を紹介してくれた。

●郊外は癒し系

 郊外に向かうほど「売り」が少なくなるためか、ダジャレに逃げやすい。しかし、「都心の壮大なポエムに比べてテレがあり、どこか心が和む」(大山氏)。

《うれしさとゆたかさと新三郷》(パークホームズLaLa新三郷)
《アサカでサカス新生活!》(デュオヒルズ志木)

 これはもちろん東京・赤坂サカスのパロディーだ。こんな逆張りも妙にイイ。

《あえて、深大寺。》(深大寺レジデンス)

●結局、どこなんだ?

 ブランド地名を欲張り過ぎて、一体どこにあるのか分からない物件も。

《そこは、成城でもなく、仙川でもない。そして、成城でもあり、仙川でもある。》(セイガステージ仙川)
《広尾を纏う西麻布の住処》(ザ・パークハウス西麻布レジデンス)

「素通り問題」も生じた。

《渋谷・代官山・中目黒、そして学芸大学。》(プラウド学芸大学)

 東急東横線の沿線は人気のブランドエリアだが、飛ばされた祐天寺住民の心境やいかに。

●注釈つきポエム

 最近、目立つのが注釈付きのポエムだ。

《東京を頂く。》(キャピタルゲートプレイス)には「※1」と註があり、欄外に《『東京を頂く』とは、都心立地・駅直結により数々の東京の魅力を手に入れる生活や、53階建ての本物件より東京を見晴らす生活を追求し、表現したものです》と記されている。

《誇りを、此処へ。》(パークコート千代田富士見ザタワー)の「誇り」にも註が付き、《「誇り」とは、ここに住まう方と三井不動産レジデンシャルにとって、誇りとなる住宅の創造を目指した住まいへの思いを表現したものです》とある。

 大山氏が解説する。

「顧客から“本当に東京は頂けますか”“誇りって何ですか”とクレームがくるのを怖れ、註を付けたと考えられます。ポエムにも過剰コンプライアンスの波が押し寄せています」

 ポエムにまでコンプライアンス! しかし、そんな注釈もまたマンションポエムの醍醐味である。

(※コピーや物件情報は大山顕氏提供)

※週刊ポスト2015年12月25日号

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