「発注するテレビ局としても、槇原さんには頼みやすいんです。それは人柄もありますが、技術的なことをいえば、作詞・作曲・編曲と全部やってくれるところが大きいと思います。作曲家、作詞家など別々に発注していると調整が大変。槇原さんなら一人に頼めば済みます。秒数まで思いのまま、オーダーに合った曲を作ってくれます。
さだまさしさんなどもいろんな番組のテーマ曲を手がけていますが、あくまでそれはさだまさしさんの曲として耳に残るものです。槇原さんほど依頼主のオーダーに応えてくれるアーティストはなかなかいないんじゃないでしょうか」
朝昼の明るい時間帯に槇原のテーマ曲が集中しているのも理由があるという。
「槇原さんの曲は、ポジティブで軽快なので、明るい時間帯によく合います。その時間帯の情報系番組は女性視聴者をターゲットにしているので、主婦層に嫌われていてはいけませんが、女性心理も踏まえて作られた槇原さんの曲には女性ファンも多く、問題になりません。
番組のテーマ曲に求められるのは、いい曲であると同時に、曲だけが突出して目立っていないということ。曲は主役ではなく、あくまで番組のイメージを補強するものでなければなりません。自己主張と自己抑制のバランスが大事なのです。槇原さんはそこを自由自在に調整しているといえます」
『どんなときも。』から24年。アーティストとして、職人として、円熟期に入ったマッキーに注目である。