「中学生レベルの基礎的な語彙を網羅できるのも利点ですが、コラムのコーナーに私が日頃生徒の皆さんからよく聞かれるような質問が非常によくまとめられています。たとえば、日本語では『頑張れ』という言葉は様々な場面で使われますが、英語にはこのように万能の言葉はありません。
スポーツなどの応援の際の『頑張れ』は、Come on!(しっかり!、どうしたんだ!)だったり、You can do it!(君ならできる!)と言ったりします。あるいは、試験などを受ける人への『頑張れ』はTake it easy!(気楽にやれ!)やDo your best!(ベストを尽くせ!)などとシチュエーションによってまったく異なるのです」
日本では「頑張れ」と励ますような意味合いで「ファイト」と呼びかけたりすることがあるが、英語での「Fight」は「戦う」という意味で、この場合は「Go! Go!」と表現するのが正しい。オリンピックで競技に出場する選手に「頑張れ!」と声援をかけたつもりでも「戦え!」とトンチンカンな言葉を伝えていた…なんて事態を避けるためには、辞書で語法についても正しく理解する必要がある。
「ある程度の基本的な語彙が身についたら、次はこのような語法にも目を向けてみましょう。それから、先ほどお話したような自動詞と他動詞の区別も意識的に学んでいくようにするなど、辞書を使えばそれぞれのレベルに応じて段階的に英語力を高めていくことができます」
来る東京五輪において、日本人の英語が“おもてなし”として機能するかどうかの決め手。それは、「元気に明るく話す」「基礎をかためる」といった、基本に立ち返るということになるのかもしれない。