「やり直し英語」について語る英語学習スタイリストの石原真弓さん
「緊迫した世界情勢を理解するために歴史を学び直したい」「子供から聞かれた科学についての質問に自分でも納得のいく返答をしたい」…など、大人になってから改めて“学び”の必要性に気づくことは意外と多いものだ。
最近では、教育系ベンチャー「塾のナガシマ」(神奈川県)が小・中学生向け講座とは別にあらたに大人向けの学習塾プログラムを開講したり、パソコン教室を運営している「パソカレッジ」(東京都)が高田馬場校内に「大人のための算数・数学教室」を併設したりと、大人たちの「学問をやり直したい」という思いに具体的に応える動きが広がっている。
そもそもなぜ大人は学び直したいという思いに駆られるのだろうか。大人力コラムニストの石原壮一郎さんは語る。
「大人なら皆多かれ少なかれ、“あのときもっとああしていればよかった”という思いを持っているものです。たとえば学生時代に好きだったけれど結局恋が実らなかった相手に同窓会などで再会すると異様に燃えて、昔では考えられないほど大胆にアタックする人がいたりします。学問もそれと一緒で、もっと勉強しておけばよかったというある種の後悔が学びへの強いモチベーションを生み出すのでしょう。そして年を経てめぐり合ったそれは、きっと新鮮な発見に満ちて学んでいて非常に楽しいのだと思います」
さらに、「もっと勉強しておけばよかった」という過去形のモチベーションのみならず、「これからのためにもっと勉強したい」という未来系のモチベーションでの学習意欲が高まっているのが英語だ。2020年東京オリンピック・パラリンピックを背景に、ホスト国として世界中から集うゲストを迎えるためにも英語の習熟を深めようとする動きが強まっている。
東京都は2015年度より「外国人おもてなし語学ボランティア育成講座」を本格始動させた。同講座は、街中で困っている外国人を見かけた際に、簡単な外国語で積極的に声をかけ、道案内などの手助けをするボランティアを目的とするもの。担当者によると、2016年1月の新宿での開催については定員の約35倍の募集が集まり、とくに50代以上の応募が目立ったという。
英会話講師を務めるほか、『新・英語で日記を書いてみる』(学研)などの著書で知られる英語学習スタイリストの石原真弓さんは語る。
「歳を重ねるほどにビジネスの場などでの使用以外にも、シンプルに“コミュニケーション”としての英語に対する意欲が増す印象があります。オリンピックが近づくにつれて外国人に話しかけられても少しくらいは英語でやりとりできるようにしておきたいなど、学んだことを実践的に使ってみたいという気持ちも全体として芽生えてきているようです」