吉崎:日本の産業構造は製造業が中心で、外側に商社など非製造業があって、おまけみたいな形で観光業があるから、どうにも力不足。観光は明らかに成長分野だし、富士山や京都のお寺をいくら見せても減るもんじゃない。しかも日本を好きになるから平和にも貢献する。いいことずくめですよ。
山口:だいたい「観光省」がないでしょう。宣伝についても、韓国では政府が韓国の人気俳優などの肖像権を一括で握っているから、観光広告で彼らの画像を使い放題なんですよ。
小幡:逆に日本のいいところは中身がしっかりあって、売り方が下手なだけだから、むしろこれから伸びる余地があるといえる。
山口:日本はいつまで経っても「深窓の令嬢」だから、奥にこもっていて、よく見たらキレイということがよくある。でも、それだけじゃダメですよ。
●ぐっちーさん(山口正洋)やまぐち・まさひろ/投資銀行家。1960年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、丸紅入社。その後、モルガン・スタンレーなど欧米の金融機関を経て、投資会社を設立。M&Aから民事再生、地方再生まで幅広く手がける一方、「ぐっちーさん」のペンネームでブログを中心に活躍。著書に『ぐっちーさん 日本経済ここだけの話』(朝日新聞出版刊)など。
●小幡績 おばた・せき/慶應義塾大学ビジネススクール准教授。1967年千葉県生まれ。東京大学経済学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。1999年退職。一橋大学経済研究所専任講師などを経て、2003年から現職。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)委員も務めた。著書に『円高・デフレが日本を救う』(ディスカバー携書)など。
●吉崎達彦 よしざき・たつひこ/双日総研チーフエコノミスト。1960年富山県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、日商岩井入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員や経済同友会代表幹事秘書・調査役などを経て2004年から現職。著書に『アメリカの論理』『1985年』『オバマは世界を救えるか』(いずれも新潮社刊)など。ブログ『溜池通信』は貿易統計から米大統領選まで解説する人気サイトだ。
※週刊ポスト2016年1月1・8日号