イキる、とは調子に乗る、勢いづく、威張る、偉そうにするなどの意味。吉本新喜劇・座長の小籔千豊(こやぶ・かずとよ)は「イキる奴」が嫌いだという。その小籔が、テレビの「タブー」について語った。
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「最近のテレビはつまらなくなった」、「表現が弱腰だ」とのご意見を耳にします。時には「出演者は何らかの圧力をかけられてるんじゃないか」とタブーや闇の秘密結社の力も囁かれることもあります。
期待を裏切って悪いんですが、テレビに出ている芸人として僕はそういったものを感じたことはありません。
たしかに、昔の芸人は博打して借金漬けになったとか、女遊びして愛人同士がはち合わせしたとか、ケンカして相手をボッコボコにした、ある芸人さんは映画『スーパーマン』がやってる時に裸に赤いマントだけで舞台に登場したとか。昔の芸人さんはおもろく破天荒な話が多いですね。
だからというのもあって大阪のオッサンなんかには「昔の芸人はムチャクチャやっとった。今の芸人はおもろないんじゃ。お前らヌルいぞ、もっとムチャせえ」とかホンマよく言われます。
でもですよ、オッサンちょっと待って。今の時代、僕が街で誰かをボッコボコにしばいたり、ムチャクチャしたら、ホンマに芸人として認めてくれますか? 笑ってくれますか? むしろ絶対「小籔は酒飲んでケンカして最低やな。もうテレビ出んな!」とか言うでしょ? そんなん僕らはどうしたらええの?
僕も芸人になる前は、特に吉本はそんなムチャクチャな人たちの巣窟だと思ってました。でも僕が入った時には、あの吉本が「バクチすんな」「借金すんな」「女遊びすんな」「街でケンカなんてもってのほか」と品行方正に生きろと言うんですよ。
借金踏み倒したり、街の人をボッコボコにするのがアカンことなのは昔も今も変わらないから、やる側も見る側も許容する範囲が変わってきてるということなのでしょう。
「お笑い界のタブー」、しいて言えばお笑い芸人が政治の話をするのは基本的にタブーのような気がします。思想に関係なく大衆側に立った「風刺」ネタはいつの時代でもすごく受けます。でも、僕みたいな「アホな『芸人』が政治を『語る』」のはアカンことなのです。