スポーツ

前田健太の出来高偏重契約 日本人選手の未来占う試金石に

 広島からロサンゼルス・ドジャースへ、前田健太(27)はメジャー移籍の夢を叶えた。が、その契約内容は関係者に波紋を投げかけるものだった。

 契約金100万ドル(1億1800万円)、年俸は総額2400万ドル(28億8000万円)の8年契約で、各年最大で1015万ドル(11億9000万円)、年俸の3倍という異例の高さの出来高契約がつく。

 インセンティブは開幕ロースター入り、先発回数(15試合から5試合刻み。32試合以上で満額)や投球イニング数(90イニングから10イニングごと。200イニングで満額)に応じて加増されるというもの。すべてクリアすれば8年間で1億620万ドル(124億8000万円)という契約になる。だが反対に開幕一軍に入れず、年間先発14試合以下・90イニング未満ならば出来高はゼロ。手にできるのは基本年俸の300万ドル(3億6000万円)のみとなる。

 これではメジャーの平均年俸(395万2252ドル)にも及ばない、並以下の選手の扱いだ。しかも8年の長期契約なのに途中でオプトアウト(契約破棄)や基本年俸の見直しもできない。

「2015年に32先発&200イニングを達成した選手は25人しかいない。しかも前田が仮にそれを達成して満額の1315万ドル(15億5000万円)を手にしても、1球も投げていない状態の田中将大(2200万ドル)の足元にも及ばない」(在米スポーツジャーナリスト)

 米メディアは「ドジャースには安全で、前田にとってリスクの高い内容」(米ロサンゼルスタイムズ電子版)と評したが、まさにその通り。入団前の健康診断でヒジに不安があったためとされているが、一部の関係者の間では「法外な安さでこき使われる奴隷契約」と揶揄されている。

 前田は広島時代、エースとして頭角を現わし始めた2年目以降、毎年25先発、170イニング以上投げている。特にイニング数は8年間で4回、200イニング超を達成。ここから考えればインセンティブの獲得も難しくないように思える。

 だがこれはあくまで日本での話だ。ボールが滑りやすくマウンドが硬いアメリカでは、何人もの日本人投手が故障に悩まされてきた。

「メジャーには“日本人投手は故障する”というイメージがある。それを踏まえた上で基本年俸を低く抑え、成功報酬で評価する。松坂や田中のようにシーズンを通して働けないと、今後も日本人投手との契約内容は同様のパターンが増える可能性がある。日本人選手の未来を占う試金石になるでしょう」(MLB評論家の福島良一氏)

 足元を見る球団を見返すことができるか。

※週刊ポスト2016年1月29日号

関連記事

トピックス

「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
人の出入りが多く流行っていたという火災があったサウナ店
《夫婦が閉じ込められ…》月額39万円の高級サウナ店での火災でサウナーたちに広がる不安 彼らはなぜ\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"避難シミュレーション\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"を議論するのか
NEWSポストセブン
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン