たとえば、ホームセキュリティの「セーフィー(Safie)」。同社は170度超広角レンズで、赤外線ナイトビジョン対応の防犯カメラを1万9800円で販売し、それを玄関やテラス、ベランダなどの外に設置しておけば、いつでもライブ画像を見ることができるというサービスを展開している。何か動きがあったらアラートがスマホに届く機能もあり、月額980円で7日間分の動画が自動保存される。屋内に設置すれば子供やペットの見守りにも使える。
あるいは、ネット印刷サービスの「ラクスル」。こちらは全国の印刷会社をネットワーク化し、機械の非稼働時間を活用することで、チラシやパンフレット、カタログ、ポストカード、名刺などの印刷物を低価格で提供するサービスだ。印刷機は固定費だから、稼働率を高めることが重要だ。そこに目をつけて、印刷機の空き時間を安く使うという仕組みである。
この両社のビジネスモデルは、海外に展開して「1から100」にできる可能性があると思う。
ただし、「1」になったことで安心して、国内で隣接領域のビジネスに多角化していくと、「1.2」か「1.3」にしかならない。これは日本企業によくあるパターンだが、事業というのは屏風と同じで、股を広げたら倒れるものだ。
「1から100」を生み出すためには、「1」になった事業を横方向に広げるのではなく、気を散らさず、脇目も振らず、同じ方向に深く追求して世界へ広げ、「100」を目指さなければならない。
※SAPIO2016年2月号