今1月場所中、理事選を前に最大派閥・出羽海一門では候補者決定のための「一門会」が開かれた。
出羽海一門では昨年11月に前理事長の北の湖親方が急逝。残る出来山親方(元関脇・出羽の花)と千賀ノ浦親方(元関脇・舛田山)は次の任期中に定年を迎えるため出馬しない。つまり理事全員が刷新される。
候補として名前が挙がったのが、春日野親方(元関脇・栃乃和歌)、境川親方(元小結・両国)、出羽海親方(元前頭・小城ノ花)。一門会はこの3人の推挙で終わると見られていた。
ところがそこに「待った」がかかった。声の主は北の湖部屋を継いでいる山響親方(元前頭・巌雄)だった。
「山響が“北の湖さんの遺言だ”といって急に立候補したいといってきた。もちろん他の親方は“そんな遺言など聞いたことがない”“顔じゃない(*注)”として猛反発した。しかし山響は一門の若手親方らを味方につけ、結果的に候補者4人のうち3番目の票を集めた。一門としても認めざるを得ない状況になり、煽りを受けて境川が落選の危機に立たされている」(出羽海一門の古参親方)
【*注:角界の隠語で「分不相応」、身分や能力などを考えて相応しくないという意味を指す。また、非礼や不作法などを叱る場合にも使われる】
しかも山響親方の語る「遺言」が、「単に自分が理事になりたいというものではなかった」(同前)ことが、問題を複雑にしている。
「遺言は“貴乃花を次の理事長にせよ”というものだったという。そのために山響が理事になり、互選の際に貴乃花を後押ししたいということだった。若手が山響を支持したのはそのため。若手には貴乃花シンパが多いから……」(後援会関係者)
※週刊ポスト2016年2月5日号