千代の富士一覧

【千代の富士】に関するニュースを集めたページです。

松田翔太と秋元梢がすれ違い
松田翔太&秋元梢がすれ違い生活 背景に「お互いの強すぎる実家愛」
 家庭内感染や無用な衝突を避けるために、コロナ禍で“別居”を選択する夫婦は少なくない。芸能界で「世紀の二世夫婦」と呼ばれた松田翔太(36才)と秋元梢(34才)もコロナを機に距離を置きはじめたが、すれ違いの日々が続いて──。 4月半ば、大樹がそびえ立つ新緑に満ちた庭園で、一組の男女が永遠の愛を誓った。タキシード姿が凜々しい新郎は松田龍平(39才)。レースをあしらった可憐なドレスを身にまとう新婦は、モーガン茉愛羅(24才)である。この日、都内の会員制レストランで行われたふたりの披露宴には、芸能界の友人らが招かれた。著名なアーティスト、モデル、俳優の中には龍平の弟の松田翔太ら“松田ファミリー”の面々も顔を揃えていた。 だが、家族の門出を祝う場に、2018年に結婚した翔太の妻・秋元梢の姿が見当たらない。翔太の仕事関係者が声を潜める。「実は、ふたりは最近、距離を置いて生活しているようなんです。翔太さんが周囲に『けんかが絶えず、別々に暮らしている』と漏らしたこともありました」 披露宴から半月ほどが過ぎた5月初旬、梢はひとりで自宅を出た。自家製の梅酒が入った瓶を携えて、タクシーで向かったのは下町にある梢の実家、九重部屋だった。「最近、実家の近くで梢さんの姿を見かけるようになりました。よくお姉さんと外出されていますよ」(近所の人) 一方の翔太が最近、頻繁に出入りしているのが、3年ほど前に設立し、翔太が代表取締役を務める会社のオフィスだ。梢と同じく、自宅に戻らない日も多いという。いまなおファンの多い名優の松田優作さん(享年40)を父に持つ翔太と、「ウルフ」と呼ばれた大横綱・千代の富士関(先代九重親方)の愛娘である梢。「世紀の二世夫婦」と呼ばれたふたりに、何があったのか──。妻に「敬語を使ってほしい」 ふたりの交際が公になったのは2014年頃。当時から、梢は世界に通用するモデルとしての実績を積んでいた。「梢さんは理想の男性像に“父より強い人”を挙げるほど、父親思いの娘さんでした。翔太さんを紹介された九重親方は『いい男を連れてきたな』と手放しで喜んでいたそうです。すい臓がんを患った後も親方は、ふたりのことを気にかけて、梢さんにはしっかりとした結婚式を挙げてほしいと望んでいたといいます」(角界関係者) 親方は愛娘の晴れ姿を見ることなく2016年7月にこの世を去り、喪に服した後で、ふたりは親方の言いつけを守るかのように都内の神社で盛大な式を開いた。この結婚は互いの家族はもちろん世間からも祝福された。「『嘘はつかない』、『記念日は一緒に過ごす』などをルールとしたふたりのフラットな関係性は自然体で好感度が高く、理想の夫婦ランキングに名を連ねるほどでした」(芸能関係者) しかし、実は結婚直後からふたりの間には微妙な空気が漂いはじめていたようだ。「結婚後まもなくすると、翔太さんが、“俺様気質”を隠さなくなったというんです。梢さんが驚いたと言っていたのは、翔太さんから『敬語を使ってほしい』と言われたこと。“夫を立てて”という意味だったのかもしれませんが、梢さんは困惑していましたね」(梢の知人) 翔太のそうした姿勢は、父親を意識してのことなのかもしれない。翔太の母・松田美由紀(60才)は2019年に出演したバラエティー番組で亡き夫との関係についてこう語っていた。《「(優作さんは)めちゃめちゃ亭主関白で、何もしてくれなかった(中略)帰ってきたら三つ指ついて「おかえり」とかってやってましたし、何気にいい奥さんだったと思います》 優作さんが亡くなったとき翔太はまだ4才だったが、幼い頃から父親は常に強く意識する存在だったという。「子供の頃から、自分の周囲が“松田優作の息子”にどのような振る舞いを求めているのかということに敏感だったといいます。小学生の頃からブランド物を愛用し、プライベートでも役者としても常に父親と向き合い、周囲から聞かされる優作さんの話に大きな影響を受けていました」(松田家の知人) 一方の梢も、力士として初めて国民栄誉賞を受賞した父を誇りに思い、大横綱の娘として振る舞ってきた。モデルとしては“格上”の梢が、翔太に意見することもあったという。「梢さんはブランドやスタイリングに強いこだわりがあるかたです。かつて、翔太さんのモデルの仕事にも細かいアドバイスをしたことがあり、翔太さんが不機嫌になってしまったといいます」(ファッション誌関係者)「これからも松田家をよろしく」 松田家の強い結束力が、妻にとっては大きなプレッシャーになることもあったという。優作さんという大黒柱を失った後、一家を支えてきたのは美由紀だった。3人の子供を女手ひとつで育て、現在は彼らの所属事務所の社長でもある“ゴッドマザー”は、ファミリーにとっては絶対的な存在だった。4月の龍平と茉愛羅の結婚式も、招待客や席次は新郎側の意向で大半が決められたという。「完全非公開としたのも松田家の意向で、マスコミもシャットアウトしていました。2度目の結婚である龍平さんはまだしも、初婚の茉愛羅さんは戸惑う部分があったのでは……」(龍平の知人) その絆は、きょうだいの間でもゆるがない。「かつて、龍平さんの誕生日パーティーで翔太さんが“これからも松田家をよろしく”とスピーチをしたことがありました。兄ではなく“松田家を”というところが、実家を大事にする翔太さんらしい言い方でした」(前出・龍平の知人) そうした現実が、ふたりの意識を変えたのだろうか。「翔太さんは、どうしても美由紀さんと梢さんを比べてしまうところがあるといいます。妻としては、義母と比べられることほどつらいことはありません。龍平さんの前妻も、松田家に溶け込むことができなかったことが離婚の一因ともいわれています。お互いに我が強いふたりゆえ、けんかも増えていったそうです」(前出・松田家の知人) 今年1月、翔太は新型コロナに感染したことを発表し、10日間の自宅療養を余儀なくされた。だが、離れて暮らしていた梢は“濃厚接触者”とならずに済み、翌日からトークショーに出演するなどして仕事を続けていた。2018年4月、実家の母と兄が設立した会社がアパレル業を展開し、千代の富士グッズを販売するようになると、梢もファミリービジネスを積極的に手伝うようになったという。翔太が個人で会社を設立したのも同じ頃だ。「翔太さんはアパレルや飲食店の経営にも興味があるようで、現在までに2つの会社を立ち上げています。もちろん美由紀さんの許可、サポートを得ているはずです。夫婦共にやりたいことのために多忙で、すれ違う時間が増えたのでしょう。妻や夫に頼らなくても、互いに強力な“実家”というバックアップがあることも、現状の夫婦関係に影響していると思います」(翔太の知人) すれ違い続きのふたりだが、梢の父も、現役引退後は地方巡業や新弟子探しのために家を空けることが多かった。「家族の仲がいいのは、自分が年の半分も帰らないからだよと、よく笑って話していました」(前出・角界関係者) 離れて暮らしても、SNSではお互いに「いいね!」をし合うふたり。それもまたニューノーマル時代の夫婦のあり方なのかもしれない。※女性セブン2022年6月9日号
2022.05.26 06:00
女性セブン
逸ノ城(時事通信フォト)
五月場所幕内力士・巨漢&小兵ランキング 先場所優勝の若隆景は小兵4位
 5月8日から大相撲五月場所が両国国技館で始まった。体重による階級がない大相撲では、巨漢と小兵の対決に見ごたえがある。そこで今場所の幕内力士42名の体重を調べてみると……。 3月に行われた大阪場所は優勝決定戦で関脇の若隆景が高安に勝利し、優勝した。先場所は高安177kgに対して若隆景は130kg、50kh近くもの体格差があった。 日本相撲協会ホームページの力士データ(4月26日発表)によると、幕内力士の平均体重は157.3kg、平均身長は183.3cm。50年前の平均より30kgも増えており、大型化が進んでいる。相撲ライターの和田靜香さんは、次のように話す。「外国出身力士に巨漢が多いのは、生まれついての体格の差に加え、外国出身力士は部屋に1人しか所属できないため、実力&体格ともに優れた者のみが入門の枠を勝ち取った結果、そうなっていると考えられます」(和田さん・以下同)大相撲五月場所 幕内力士・巨漢ランキング【第1位】逸ノ城(湊部屋)211kg・192cm西前頭筆頭。モンゴル出身の29才。2021年9月に日本国籍を取得し、日本名は三浦駿(たかし)。【第2位】千代大龍(九重部屋)190kg・181cm東前頭13枚目。東京都荒川区出身の33才。都立高校出身で初めての関取で、本名は明月院 秀政。【第3位】高安(田子ノ浦部屋)184kg・187cm東前頭筆頭。茨城県土浦市出身の32才。大関まで上り詰めるが在位15場所で陥落。【第4位】碧山(春日野部屋)182kg・190cm東前頭11枚目。ブルガリア出身の35才。3月に日本国籍を取得し、日本名は古田亘右(こうすけ)。【第5位】照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)181kg・192cmけがや病気で大関から序二段まで陥落するも、2021年7月横綱に昇進。3月の春場所は途中休場。30才。 1位の逸ノ城は、200kg超えでダントツ。全部脂肪に見えても、その下にはしっかりと筋肉がついている。「体格を生かして圧倒的な強さを見せたかと思えば、あっけなく負けてしまうこともある。“スー女”の間では、実は着ぐるみで、『中の人』が2人いるといわれています(笑い)」 5位は休場明けの横綱照ノ富士。残り3人もひざなどに故障を抱えており、重さは有利である半面、けがのリスクも高くなってしまう。大相撲五月場所 幕内力士・小兵ランキング【第1位】照強(伊勢ヶ濱部屋)111kg・169cm西前頭8枚目。兵庫県南あわじ市出身の27才。阪神・淡路大震災の日に誕生。取組前に大量の塩をまく。【第2位】翠富士(伊勢ヶ濱部屋)112kg・171cm西前頭16枚目。静岡県焼津市出身の25才。近畿大学を2年で中退して角界入り。今場所より幕内復帰。【第3位】石浦(宮城野部屋)119kg・176cm東前頭16枚目。鳥取市出身の32才。一時は格闘家を目指すも、白鵬の内弟子として角界入りした。【第4位】若隆景(荒汐部屋)131kg・180cm先場所優勝し、今後は大関を狙う東関脇の27才。兄は若隆元と若元春で、大波3兄弟の三男。【第5位】琴恵光(佐渡ヶ嶽部屋)132kg・176cm西前頭7枚目。宮崎県延岡市出身の30才。祖父は元十両の松恵山。得意技は右四つ・寄り・押し。 一方の小兵力士は、スピーディーに技を繰り出し、「小よく大を制す!」で巨漢力士を転がすのは爽快だ。「小兵1位は豪快に塩をまく照強、2位は再入幕の翠富士。1、2位は伊勢ヶ濱部屋で、3位の石浦と炎鵬(十両・97kg)は宮城野部屋で、同じ一門。ともに横綱・白鵬(間垣親方)の土俵入りの太刀持ち・露払いを務め、“スー女”の人気が高い」 先場所優勝し、この五月場所が大関とりの足掛かりとなる若隆景も立派な小兵力士だ。「先場所の千秋楽で、解説の北の富士勝昭さんが『千代の富士が一気に強くなった頃を思い出す』と話していました。調べてみると、千代の富士は183cm、127kgで体格はほぼ一緒で、体つきもよく似ています。大関、横綱と昇進したら、令和の千代の富士といわれるかも」 五月場所はまだ始まったばかりだが、巨漢VS小兵の取組に注目してみよう。※女性セブン2022年5月26日号
2022.05.09 19:00
女性セブン
法廷では衝撃的な主張が繰り広げられた(写真は八角理事長/共同通信社)
八角理事長が法廷で告白した「相撲協会と裏金」一部始終を傍聴ルポ
 法廷の場でついに真相が明らかに―─『週刊ポスト』のスクープで発覚した、相撲協会のパチンコ裏金疑惑に端を発した内部闘争が大詰めを迎えている。裁判で証言台に立った八角理事長(元横綱・北勝海)は、組織のガバナンスが崩壊していたことを自ら告白。九州場所初日を目前に、土俵外バトルが過熱している。傍聴席に協会幹部がズラリ 10月29日、東京地裁103号法廷は異様な空気に包まれていた。 この日の公判は、相撲協会が原告となった損害賠償訴訟で、被告は協会の元顧問・小林慶彦氏と同氏が代表を務めたコンサルティング会社。 原告側の特別傍聴席には尾車事業部長(元大関・琴風)、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)、春日野監察委員長(元関脇・栃乃和歌)という協会の最高幹部が居並ぶなか、緊張した面持ちで証言台に立ったのが、八角理事長だ。 そこでの証言は、現在の協会トップが、たった1人の“顧問”の力に怯えていたことを告白する内容のものだった。「千代の富士さんは、小林に悪口を言われて(理事選で)足を引っ張られた」「小林が私を悪く言って、“八角を使わないように”と北の湖理事長に進言するのが怖かった」 この裁判は、コロナ前は年間100億円を超える経常収益を誇った相撲協会で、組織のガバナンスが機能せず、取引業者との間で裏金が動いていたことを協会が自ら主張するという異色の展開を辿っている。 被告の小林氏はもともと、2015年に他界した北の湖理事長に重用された人物だった。2016年、八角理事長体制となった協会は小林氏との契約を解除。さらに翌2017年になって小林氏の在職中に背任行為があったとして、協会が損害賠償を求める訴訟を起こしている。今回の公判はその最終口頭弁論だ。「協会側が小林氏の背任行為だと主張している主要な案件は2つあり、ひとつが両国国技館の改修工事を巡り施工業者から8000万円を受け取っていた問題、もうひとつは力士が登場するパチンコ台の契約を巡って仲介業者から1700万円が渡った問題だ。信用毀損による損害なども含め、当初1億6500万円だった損害賠償請求額は、提訴後に増額されて5億1000万円まで膨れあがった」(協会関係者) つまりは北の湖理事長時代の組織の腐敗を八角理事長が追及するという構図の巨額賠償訴訟なのである。この日は八角理事長と小林氏本人が出廷。関係者の注目が集まった。 そして、北の湖理事長体制においても協会ナンバー2の事業部長などの要職にあった八角理事長が、実際には小林氏の言いなりであったと本人が認めるという衝撃的な主張が繰り広げられたのだ。公印も管理できていない 前述したパチンコ台の契約を巡る裏金疑惑はもともと、北の湖理事長が存命だった2014年に『週刊ポスト』のスクープによって明るみに出たものだ(同年1月24日号掲載)。 記事では、大手パチンコメーカーとの間に入った代理店経営者A氏が、小林氏に対して500万円の札束が入った紙袋を手渡す動画の内容とともに、その後にビジネスから外されたA氏の「理事たちを懐柔する“実弾”が必要だと裏金を要求され、2回にわたって計1700万円を渡した」とする証言を報じた。動画には分厚い札束を手にする小林氏の姿や「絶対これ、バレんようにしてくれる?」「(残りは)小分けでも構わんですよ」といった生々しい音声が収められていた。「当時、国技館改修工事を巡る資金の流れやパチンコ裏金疑惑を問題視したのが、理事だった元横綱・千代の富士の九重親方だった。しかし、北の湖理事長体制下では“裏金はすぐに返した”といった小林氏の主張が通って追及は叶わず、直後の2014年1月末の理事選で九重親方は落選。小林氏の言い分を信じた北の湖理事長が、九重親方が自分の地位を脅かそうとしていると考えて、票を回さずに失脚させたとされている」(前出・協会関係者) 東京地裁の証言台に立った八角理事長は、そうした協会組織の歪な実態を認める告白を続けた。「(小林氏は)チケット(の差配)や国技館改修工事に干渉してきた。協会内部でストップがかけられなかった。北の湖理事長と近いため、(追及すれば)変な噂を流されることになる」 当時の九重親方の失脚についても、小林氏が国技館改修工事の代金から裏金を捻出する計画を持ちかけ、九重親方がそれに応じなかったために、「千代の富士さんは、小林に悪口を言われて(理事選で)足を引っ張られた」と説明。協会の理事選出に、1人の顧問が大きな影響力を持っていたと主張したのだ。 その後、自らが改修工事を取り仕切る役職に就いてからも、「(工事を)拒否して足を引っ張ったら(小林氏に)悪い噂を流される」「必要ない工事を止められず、苦しくて精神的に参った。不整脈で病院に運ばれたこともある」と、要職にありながらその地位を追われる恐怖に駆られていたことを明かしている。 さらには、裏金疑惑のあったパチンコ台の契約についても「締結は小林がやって、協会には説明がなかった」「私は(事業部長として)公印は押していない」として、公益財団法人たる協会の公印が、適切に管理できていない実態まで証言した。 その後の裁判官からの質問にも「(小林氏の悪評を流すと)選挙や役員改選で不利になる」「(北の湖理事長に対して)はっきりダメとは言えなかった」「下手に言うと協会内の立場が危うくなる」などの主張を繰り返した。 最後に八角理事長は「私は理事長として6年間、公明正大に運営してきましたが、小林が私腹を肥やしていて残念です。今後はこのようなことがないようにしたい」と宣言したが、裏金疑惑の当時からナンバー2の立場にあったという自覚は感じられなかった。 それほどまでに小林氏の影響力が大きかったということなのか。公判では、続いて小林氏その人が証言台に立った。裏金の授受が“演技”? 小林氏は八角理事長や傍聴席に陣取る親方衆の鋭い視線にも気後れすることなく、協会の人事に影響力があったとの原告側の主張に対し、「北の湖理事長が決めていた」「人事には関与していない」とし、九重親方を2014年の理事選で落選させたという疑念についても「できるはずがない。親方衆の票で決まる。一般人が入る余地がない」と否定。協会側とは真っ向から食い違う主張を展開し、国技館改修工事の業者の選定なども、すべて北の湖理事長の意向に沿ったものだと証言した。 パチンコ台の契約を巡る裏金については、札束を手渡したA氏が経営する代理店に旧知の間柄だった従業員がいて、その従業員の顔を立てるためにいったん受け取ってからすぐに返却したと主張。 動画に残された「バレんようにしてくれる?」という言葉については、その旧知の従業員を助けるために「(演技を)真剣にやっただけ」と言ってのけた(A氏は『週刊ポスト』取材に裏金は返却されていないと証言している)。同氏が代表を務めたコンサルティング会社への協会関連業者からの振り込みも、「従業員が担当した仕事。関知していない」と平然と答えた。 八角理事長や協会幹部は、その様子を苦々しい表情で見つめていた。 それもそのはずだ。この裁判における対立構図は、ここ数年の協会内での激しい内紛にもつながってくるのだ。「北の湖理事長の死後、後ろ盾を失った小林氏は、八角理事長への接近を試みたが、不信感が強く、懐柔は難しかった。そこで今度は貴乃花親方を担ぎ上げて理事長にしようと画策したのです。貴乃花親方はモンゴル力士の暴行事件をきっかけに協会執行部と激しく対立し、2018年に追われるように協会を退職したが、小林氏と接近したことを快く思わない親方衆は多く、協会内で孤立した一因だった」(ベテラン記者) 協会、小林氏の代理人の双方に進行中の裁判についての見解を改めて問うたが、回答はなかった。 裁判は年明けには結審する予定だ。角界における様々な騒動の震源となってきた対立構図に、どのようなかたちで決着がつくのか。※週刊ポスト2021年11月19・26日号
2021.11.12 07:00
週刊ポスト
貴乃花氏が「理想の横綱」として仰ぎ見た力士は?(写真は2001年5月場所/共同通信社)
貴乃花が述懐 曙や武蔵丸の「大きさ」と千代の富士の「重さ」
 4年半ぶりとなる新横綱として、大相撲9月場所の土俵に上がった照ノ富士は、「令和初の新横綱」だ。一方「平成の大横綱」といえば、2018年10月に相撲協会を退職した貴乃花光司氏だ。大相撲の歴史には、69連勝を記録した双葉山、一代年寄を襲名した大鵬、北の湖、千代の富士(辞退して九重を襲名)ら、数々の大横綱がいる。貴乃花氏が「理想の横綱」として仰ぎ見た力士はいたのだろうか。話を聞いた。 * * * 歴史に名を刻む大横綱の映像を見ると、双葉山関なら完全な右四つの型があったし、北の湖理事長なら相手が誰でも吹っ飛ばす破壊力があった。ただ、それを真似しようとは考えませんでした。“対戦したらどんな展開になるかな”と研究する対象になっていた。誰かを真似るのではなく、自分の良さを引き出したいと考えてやっていました。 1991年5月場所では、千代の富士関と対戦して金星をあげることができましたが、まさに全身が筋肉に覆われている印象で、ぶつかっても肌が硬かった。本場所では一度しか対戦できませんでしたが、その後も千代の富士関のような硬さの力士と対戦したことはありません。ライバルだった曙関や武蔵丸関から“大きさ”を感じたとすれば、千代の富士関からは“横綱の重さ”を感じました。 よくアドバイスをいただいたのは大鵬親方です。 相撲の話というよりは、いろんな世界の人とのお付き合いの話が多かった。「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた人気横綱でしたから、政財界の重鎮と交友があり、高い見識のある方でした。ただ、巨人と並び称されることには「相撲は個人競技だから、野球のような団体競技よりつらいよな」とボソッと話されていた。大鵬親方も横綱が逃げ場のない孤独な地位だと感じていたのだと思います。 野球選手は3割打てば一流ですが、横綱は勝率8割を切ったら引退を考えないといけない。北の湖理事長は“横綱の勝ち越しは12勝”とおっしゃっていました。しかも、平幕には負けられない。自分が負けた後に座布団が舞ったり、うなだれているところに座布団が当たったりすると余計に心が痛みます。 一方で、自分が負けて喜んでいるお客さんがいると、入門した時に師匠から「負けて喜ばれる存在にならないと力士をやっている意味がないぞ」と教わったことを思い出したりもしました。花道を下がりながらいろんなことを考えるわけです。※週刊ポスト2021年10月1日号
2021.09.20 16:00
週刊ポスト
白鵬には親方としての野望も?(時事通信フォト)
白鵬が抱く親方としての野望 協会内には「出世は実績とは別の力学」も
 7月4日に初日を迎えた大相撲名古屋場所の最大の見どころである横綱・白鵬の取組。休場を続けた白鵬にとって、文字通り進退がかかる場所となり、負けが込むようななら“引退”の2文字が現実的となってくる。 これまで、大横綱の引退には「ドラマ」がつきものだった。1971年5月場所では、横綱・大鵬が後の大関・貴ノ花(当時は小結)に敗れ、引退を決めた。昭和の大横綱の引退劇は、“角界のプリンス”への世代交代としてもファンの記憶に残っている。1991年の5月場所では、千代の富士が新進気鋭の貴花田(後の横綱・貴乃花)に敗れたことをきっかけに引退を決意した。「体力の限界……」と言葉を詰まらせた引退会見の後に、若貴ブームという新しい時代がやってきた。 だが、幕内最高優勝44回を数えながら、この1年は途中休場を含めて6場所連続休場となり、ここまで延命を繰り返してきた横綱・白鵬には、そうしたドラマを期待できそうにない。「白鵬も、自らの引退をドラマチックに演出したいという思いはあったようだ。その相手は、自身が主催する少年相撲『白鵬杯』の第1回大会・団体戦の優勝メンバーである阿武咲(前頭6)や、大鵬の孫である王鵬(十両12)あたりが候補となるはずだが、番付的に今場所は当たらないし、そもそも引退を延ばし延ばしにしたことで、ファンにとっても感動より“やっとか”という思いが強くなってしまう状況が生まれている」(担当記者) これまで、白鵬は「休場明けの場所で強さを見せつけて優勝」というパターンを何度も見せてきたが、それもこの1年は影を潜めている。角界の暴力問題を巡って再発防止検討委員会の外部委員を務めた経験もある漫画家・やくみつる氏からも、「場所前の稽古の様子も伝わってこないし、本人の気力がどこまで残っているのか」と指摘されるような状態になってしまった。親方としての野望も 白鵬は、早い段階から引退後に部屋を興す準備をしてきた。すでに炎鵬や石浦といった関取の内弟子を抱えている。「引退後の1年は、宮城野部屋の部屋付き親方となるが、すぐにでも独立した部屋として機能させられる自信はあるのでしょう。唯一の懸念は、一代年寄ではないかたちで協会に残るうえで必要となる年寄名跡の手配でしたが、それも不祥事で退職した先代の時津風親方(元前頭・時津海)が権利を持つ『間垣』が手に入れられる目処がたったという。もはや、引き際をどうこうより、親方としてのし上がることに興味が向いているのではないか」(ベテラン記者) つまり、白鵬の“戦いの場”は協会内での出世争い、権力闘争へと移行していくというのである。「協会内部からは『引退後は白鵬にも雑巾がけからやってもらう』という声が聞こえてくる。横綱が引退すると、ヒラ年寄ではなく委員待遇からのスタートになるが、それでも親方としてのランクは80番目より下です。館内警備などの現場業務を割り当てられる」(同前) 大横綱の千代の富士が理事選で落選し、優勝8回の北勝海が理事長になる世界である。協会内の出世には、現役時代の実績とは別の力学もある。「親方としての力は、所属する一門の規模や理事選での集票力、有力タニマチの財力などで変わってくる。白鵬はスカウトなどのために広い人脈を築いてきたし、太いタニマチも多い。 ただ、所属している伊勢ヶ濱一門は弱小であるうえ、一門総帥には理事長を狙う伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)がいて、上を目指すための環境としては微妙。そこで、もともと時津風一門の株である『間垣』を継ぐなら、それを口実に時津風一門に移るという手がある。白鵬が本気で協会内で上を目指すなら、十分にあり得ることだ」(若手親方) 早くも様々な思惑が見え隠れする。「まずは、これまでの問題行動をしっかり反省して総括してほしい」(やくみつる氏)といった声は、“大横綱”に届くのだろうか。※週刊ポスト2021年7月16・23日号
2021.07.07 16:00
週刊ポスト
4か月休んで1200万円が手に入る白鵬 年寄株取得を巡る思惑
4か月休んで1200万円が手に入る白鵬 年寄株取得を巡る思惑
 初日から2連勝の横綱が3日目から休場するなど、寡聞にして知らない。春場所の白鵬は、4場所連続の休場から再起をかけて土俵に上がったはずだった。休場の理由は「右ひざの状態が悪く、近く手術を受ける」と発表されたが、そこまでの状態なら、そもそも出場できなかったのではないか。師匠の宮城野親方(元前頭・竹葉山)は、「本人は7月場所ですべてをかけると話している」と述べ、今場所と5月場所は「お休み」と宣言した。 不可解にも見える休場によって、角界関係者には波紋が広がっている。白鵬の休場が決まると芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は、緊急事態宣言により開催が留保されていた春場所後の横綱審議委員会について、会合を開くと明言。横審メンバーである山内昌之氏(東大名誉教授)は白鵬側の判断を問題視し、「今場所中に進退を決してほしい」とコメントしたことが報じられた。 横綱は休場しても番付が下がらず、土俵に上がらなくても300万円の月給がある。1場所延命すれば2か月で600万円の収入となり、白鵬が7月場所まで「2場所延命」となるなら、休んだ4か月間の収入は1200万円にのぼる。それだけ国技の最高位には価値があるということだが、休場が続けば批判を受けるのは当然という話にもなる。 歴代1位の優勝44回という大横綱が、丸1年も休場続きになっているのはなぜなのか。初日に前の場所で優勝した大栄翔を下したように、まだまだ実力は抜きん出ているとはいえ、36歳という年齢と十分すぎる実績を考えれば、休み続けて批判を浴びるより、名誉ある勇退を決断してもおかしくないが、白鵬の場合はそうもいかない事情がある。「記録のうえでは文句なしの白鵬だが、今すぐに引退すれば将来にわたって協会に残れるか微妙です。本来なら、著しい功績のあった横綱に与えられる一代年寄という制度で、白鵬という現役名のまま親方としての地位を保証されてもおかしくないが(過去に大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花がいる。千代の富士は辞退した)、品行に問題があるとしてたびたび批判される白鵬には、協会は一代年寄りの資格を与えないと見られてきた。だったら自分で年寄株(年寄名跡)を手に入れなければならないが、その見通しが立たなかったのです。横綱に限り引退後5年間は年寄株なしでも現役名で親方として協会に残れるが、その後の保証がないなら、できるだけ引退を引き延ばして、その間に年寄株を入手したいのでしょう」(相撲記者) 2014年に親方の定年が65歳から70歳になったことで、退職するはずだった親方がさら5年間長く在職することになり、年寄株の「空き」はほとんど出なくなっている。今年はじめまで、唯一空いていたのが2019年に急死した東関親方(元前頭・潮丸)を継いだ元小結・高見盛がそれまで持っていた「振分」だったが、これは白鵬の天敵である八角理事長(元横綱・北勝海)が所属する高砂一門の株なので、白鵬に渡る可能性はなかった。「白鵬が所属する宮城野部屋は弱小の伊勢ヶ濱一門で、株の空きは当分出ない。師匠の宮城野親方も70歳までの再雇用を希望しているから(現在63歳)、すぐに白鵬に禅譲はできない。白鵬と手の合う(仲の良い)朝日山親方(元関脇・琴錦)が八方手を尽くしてきたが、株を手当てできなかった」(若手親方) 白鵬がひざの故障を抱えながら出場に踏み切った背景に、年寄株の手配ができない事情があったとするなら、「やっぱりやめた」と急に休場した裏も、やはり年寄株の問題だった可能性がある。場所直前、複数のスポーツ紙が「白鵬が年寄株『間垣』を取得へ」という観測記事を掲載した。それが事実なら、白鵬の念願が叶うことになり、無理して現役続行する動機のひとつがなくなるのである。 年寄株の絶対数が不足するなか、「間垣」はどこから出てきたのか。これは、初場所中に雀荘や風俗店に出入りしていたことが発覚して2月に退職に追い込まれた時津風親方(元前頭・時津海)のスキャンダルによるものだ。「時津風」は部屋付き親方だった元前頭・土佐豊が襲名し、その元土佐豊が持っていた「間垣」が協会預かりになったのである。 若貴ブームの時代には3億円といった高額で売買されていた年寄株だが、7年前に日本相撲協会が公益法人化する際に売買は禁じられたはずだ。制度的には105ある名跡を協会が管理し、名義変更の際に金銭で売買することは禁止された。しかし、実際には名跡を襲名した親方が、その前に名跡を持っていた親方に顧問料などの形で金銭を支払うことは許されており、今も「親方」の地位はカネで買う慣行が残っている。一時は下落した取得にかかる資金の相場が、年寄株不足によって再び高騰し、億単位のカネが動くといわれる。今回の「間垣」に関していえば、スキャンダルで退職した元・時津海が事実上の「所有者」の位置づけになる。 言うまでもなく「間垣」は時津風一門の株。、時津風部屋は功労者の元関脇・豊ノ島が継承する株を見つけられずに「井筒」を借りている状態だし、所属力士には大関・正代や部屋の伝統の四股名を襲名した平幕力士・豊山もいる。それゆえ簡単に一門外に流出させまいと阻止する動きも出てくる可能性があるが、事実上の所有者の元・時津海が不祥事で協会を追われた立場である以上、何が起きてもおかしくない。また、年寄株を継承するためには年寄資格審査委員会の承認を経て、理事会で認められなければならない。“4か月間、1200万円の有給休暇”に入った白鵬が年寄株の取得に至るのか。 『週刊ポスト』(3月19日発売号)では関係者の思惑や駆け引き、さらに「間垣」が「呪われた株」と呼ばれる複雑な歴史について詳報している。 それにしても、相変わらずのカネ、カネ、カネの角界体質。好角家が見たいのは、そんな“大相撲”ではない。
2021.03.18 07:00
NEWSポストセブン
ケガに泣いたがケガにも強かった千代の富士(時事)
白鵬、鶴竜の「休みすぎ」には歴代の名横綱と決定的な差が
 大相撲11月場所は、白鵬、鶴竜の両横綱が揃って2場所連続で初日から休場。“休みすぎ批判”が高まり、進退を問う声も出ている。横綱は大関以下と違って番付の降格がなく、自ら引退のタイミングを判断する必要がある。歴代の横綱と比較した時、現在の2横綱はどのような評価になるのか。  9月場所も全休だった鶴竜は、途中休場を含めて3場所連続休場。19年7月場所に14勝1敗で6度目の優勝を果たした後は、最近7場所で6度目の休場となった。一方の白鵬は同じく3場所連続休場(全休は2場所連続)で、7場所で休場は5回目。ただ、鶴竜と違い、皆勤となった2場所(2019年11月場所、2020年3月場所)はいずれも優勝している。 2013年に亡くなった第48代横綱・大鵬は生前、本誌・週刊ポストの取材で「横綱の地位」についてこう話していた。「私は(横綱の地位が)協会の看板と考えていた。15日間、横綱として恥ずかしくない成績を挙げなければいけない。仮に優勝しても、“今場所は責任を果たせたが、来場所は大丈夫か”と考えながら引退するまで相撲を取った。そして、(責任が)果たせなくなったと感じた時にサッと引退しようと思っていた」“昭和の大横綱”と呼ばれた大鵬の成績を振り返ると、1967年11月場所から翌年7月場所まで、3場所連続全休を含む「5場所連続休場」を経験している。ただ、1968年9月場所で土俵に戻ってくると、3場所連続優勝を果たした。最後の優勝となったのは1971年の1月場所。同年3月場所も12勝3敗の成績を残したが、次の5月場所で5日目に、“角界のプリンス”と呼ばれ、のちに大関に昇進する貴ノ花との取組で2敗目を喫すると、潔く引退を決めている。 大鵬と同じく、功績著しい横綱にのみ認められる「一代年寄」を襲名した第55代横綱・北の湖も生前の取材で、「私は横綱という番付にプライドを持っていたので、土俵上で負けて転がって、フーフーいうような姿を見せたくありませんでした」と話している。 全盛期には“憎らしいほど強い”といわれた北の湖も、晩年はケガに苦しんだ。1982年5月場所から、3場所連続全休を含む「6場所連続休場」があった。その後、1984年5月場所では14場所ぶりとなる優勝を全勝で飾ったが、両国に完成した新国技館で行なわれた1985年1月場所で初日から2連敗。新しい国技館で白星をあげることなく引退した。 国民栄誉賞を受賞した第58代横綱・千代の富士のように、横綱時代に連続して本場所を休んだのは引退直前の「2場所連続休場(うち1場所が全休)」のみという例もあるが、歴史に名を残す大横綱であっても途中休場を含む連続休場がなかったわけではない。「ただ、全休は長くても3場所連続までだった。それが近年になって貴乃花の『7場所連続全休』(2001年7月場所~翌年7月場所)というケースが起きた。さらに、途中休場を含めてですが、貴乃花もよりも長期間となったのが稀勢の里(現・荒磯親方)。2017年5月場所から翌年9月場所まで『8場所連続休場』となりました」(協会関係者) 一大ブームを築いた貴乃花や日本出身力士として19年ぶりに横綱に昇進した稀勢の里に対して、協会が寛容だったのではないのかという“ご都合主義”も見え隠れするが、「白鵬、鶴竜と並べて論じていいのだろうか」(若手親方)という声も聞こえてくる。 「貴乃花は2001年5月場所で右膝半月板損傷のケガを負いながら横綱・武蔵丸(現・武蔵川親方)との優勝決定戦を“鬼の形相”で制した代償としての長期休場です。稀勢の里も直前の2017年3月場所で22年ぶりの新横綱昇進場所優勝と引き替えに、左上腕を負傷した。左腕が内出血で大きく黒ずんでいるような状態で千秋楽に奇跡の逆転優勝を果たしたが、その結果、長く故障に苦しんだ。白鵬や鶴竜はむしろ、ケガによる引退危機を避けるために出場と休場を繰り返しているようにも見える。内容まで踏まえないと、単純に“8場所連続休場までは前例があるからOK”とはいえないのではないか」(同前) 横綱の引退に関しては明確な基準がない。過去に協会としての態度が曖昧だったことも、白鵬、鶴竜の進退を巡る議論をより複雑にしているといえそうだ。
2020.11.14 07:00
NEWSポストセブン
両横綱が不在の秋場所だったが…(写真は横綱鶴竜、時事通信フォト)
朝乃山が撃沈 白鵬、鶴竜に引導を渡せない相撲協会の悩み
 両横綱の白鵬と鶴竜が初日から休場した秋場所。複数の横綱が全休するのは37年ぶりの事態だ。「八角理事長(元横綱・北勝海)ら協会幹部は休場続きの2人に引導を渡したいが、引退されると横綱不在となるため強く出られない」(協会関係者) そこで期待を集めたのが大関・朝乃山だった。先場所は12勝3敗で、幕尻優勝した照ノ富士(前頭1)に次ぐ成績。「今場所優勝なら2場所連続優勝に準ずるとして、横綱に昇進させる考えがあったはず。ただ、先場所の12勝は途中休場の白鵬、鶴竜、大関・貴景勝と対戦がないのだから“大甘基準”です」(若手親方) 協会のご都合主義は昔から。37年前の2横綱不在場所の時もそうだ。「1983年5月場所は北の湖、千代の富士が全休し、北の湖は引退が近いとみられていた。同場所で準優勝したのが大関・隆の里。翌場所も連続休場の北の湖との対戦はなかったが、千代の富士に勝って優勝するとあっさり横綱に昇進させた。横綱が引退危機だと昇進基準が甘くなるのは協会の常套手段です」(ベテラン記者) だが、朝乃山は初日からまさかの3連敗。「師匠の高砂親方(元大関・朝潮)が12月に定年を迎える前に朝乃山を待望の日本人横綱に、と考える親方衆は多いが、さすがにこの内容では難しい」(前出・協会関係者) かくして、2人合わせて過去1年で皆勤が3回しかないモンゴル人横綱たちが延命するのである。※週刊ポスト2020年10月2日号
2020.09.18 11:00
週刊ポスト
北の湖はなぜあそこまで嫌われたのか、その伝説の数々
北の湖はなぜあそこまで嫌われたのか、その伝説の数々
 双葉山、大鵬と並ぶ昭和の大横綱・北の湖。大関を3場所で通過し、21歳2か月という史上最年少での横綱昇進の記録を持つ。横綱在位10年で優勝24回は大鵬に次ぐ当時歴代2位、横綱通算670勝などの記録を残したが、「憎たらしいほど強い」と称された。「稽古場ではちぎっては投げの連続で、本場所でも右上手を取れば盤石。左四つへの巻き替えも機敏で、簡単には負けなかった。強烈なカチ上げで相手を一発で土俵際まで吹き飛ばすと、そのまま土俵下に叩きつける。そしてクルッと体を反転させると、喜ぶ素振りも見せずに引き返していく」(相撲担当記者) その強さと悪態でアンチが増えていった北の湖だが、6年にわたり横綱・輪島と「輪湖時代」を築いた。特に1976~1977年にかけては2人で各5回の優勝を飾り、千秋楽決戦は7回。栃若(栃錦と初代若乃花)や柏鵬(柏戸と大鵬)に並ぶライバル関係を築いたが「戦後最大のヒール」となった大きな理由のひとつは、“角界のプリンス”と呼ばれた貴ノ花の出世を阻んだことにあった。「貴ノ花は、“蔵前の星”と騒がれた元学生横綱の輪島と同時に大関へ昇進し、『貴輪時代』の到来を予感して相撲人気が高まったところに割って入ったのが北の湖だった。 特に人気抜群の貴ノ花を36勝10敗と寄せ付けず、貴ノ花が“万年大関”となる原因となった。日本人の判官びいきもあって、アンチ北の湖が多く誕生。1975年3月場所で貴ノ花が北の湖を優勝決定戦で破って初優勝を決めると、北の湖の独走優勝では1ケタのテレビ視聴率が50%台に跳ね上がった」(相撲ジャーナリスト) その後、二代目若乃花と三重ノ海が横綱に昇進。1977年7月場所から1980年11月場所まで21場所連続で横綱の優勝が続いたが、輪島の衰えとともに北の湖の優勝ばかりになると相撲人気が低迷し始めた。「北の湖は横綱在位63場所と長く綱を張ったが、貴ノ花、二代目若乃花、千代の富士など美形人気力士がいる時代に君臨したことで、ヒール役が定着していった」(同前) 1980年代になり、千代の富士時代に突入。引退後、北の湖は「土俵下に吹っ飛ばした力士に手を貸さなかったのは真剣勝負した相手に失礼だから」と振り返ったが、今も相撲ファンには「強すぎて憎たらしい横綱」と記憶されている。※週刊ポスト2020年4月3日号
2020.03.24 07:00
週刊ポスト
白鵬でも6位なら上位は誰なのか(時事通信フォト)
史上最強の横綱1000人アンケート 白鵬6位、双羽黒15位
 長く続いた白鵬一強の時代が終わりを迎えるのか? 世代交代を担う力士は誰なのか? 春場所(3月8日~)に向けて関心が高まる。振り返れば過去の名横綱たちは、同時代のライバルと鎬を削り、突き上げる世代交代の波と戦いながら、最高位にのぼりつめた。ならば“最強の中の最強”は誰か。読者1000人と各界の好角家たちが選んだ。◆直線の柏戸、曲線の大鵬 1位は圧倒的な支持で大鵬。優勝32回(うち全勝8回)、6連覇2回と圧倒的な記録を残した。「巨人、大鵬、卵焼き」と呼ばれた子供の頃の人気者の記憶は、半世紀経っても強く残っているようだ。「少年雑誌の表紙は、ONか大鵬と決まっていた」(65歳自営業) 好角家として知られるコメディアンの大村崑氏(88)も深く頷く。「これまで大勢の力士を見てきましたが、やはり最強は大鵬です。立ち合いでは相手を真っ正面から受け止め、どんな展開になっても負けなかった」 大鵬の連勝記録は歴代4位の45だが、芥川賞作家の高橋三千綱氏(72)は「本当ならもっと連勝していた」と語る。 46連勝が懸かった1969年春場所の戸田との一番。押し込まれた大鵬は、土俵際で際どく突き落とし。軍配は大鵬に上がったが、物言いがつき、行司差し違えで戸田の勝ちに。「しかし、翌日のスポーツ新聞には、戸田の足が先に出ている写真が掲載された。“世紀の大誤審”で、翌場所から判定にあたりビデオが参考にされるようになりました」(前出・高橋氏) 名横綱には必ずライバルがいる。大鵬のライバルといえば柏戸(11位)。元NHKの大相撲実況アナウンサーで、現在は東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏(89)が言う。「私はラジオ中継で“直線の柏戸、曲線の大鵬”と表現しましたが、土俵の丸みを生かすのが大鵬で、一直線に持っていくのが柏戸だった。全盛期の大鵬戦となると互角以上の勝負をしていました」「柏鵬時代」の後に訪れたのが、玉の海(12位)と北の富士(14位)の「北玉時代」。70年初場所で13勝同士で優勝決定戦に臨んだ2人(優勝は北の富士)は、場所後、揃って横綱に推挙された。「玉の海が横綱になった翌年に急逝した(享年27)ときはショックだった。生きていれば北の富士と長く名勝負を見せてくれたはず」(69歳会社役員) 2人の幕内対戦成績は北の富士の22勝21敗とほぼ互角だった。◆北の湖に勝ち越した輪島「北玉」の後に台頭してきたのが、「憎らしいほど強い」と称された北の湖(3位)だ。1974年7月名古屋場所後に21歳2か月の史上最年少で横綱に昇進し、優勝は24回。「滅多に負けないからこそ、負けた時は盛り上がる。先代の貴ノ花が結びの一番で北の湖を寄り切って初優勝した時は興奮した」(61歳会社員) その北の湖と渡りあったのが、元学生横綱の輪島(9位)。“黄金の左腕”から繰り出される下手投げは強烈で、北の湖に23勝21敗と勝ち越している。 2位になった千代の富士は1981年初場所、優勝決定戦でその北の湖を倒して初優勝。この一番が黄金時代を築くきっかけとなった。「小さな体で大きな北の湖の前まわしに食らいくつ姿は、まさにニックネームの“ウルフ(狼)”そのもの。強引に寄りに出た北の湖を上手出し投げで倒して初優勝した時の、国技館の大歓声はすごかった」(58歳会社員) 抜群のスピードとバネの強さを武器に、全盛期には5年間で優勝20回。53連勝も記録した。 同時代に千代の富士とともに綱を張ったのが、双羽黒(15位)と隆の里(20位)。隆の里は糖尿病と闘いながら、苦労の末に30歳で最高位にまで昇りつめ、苦労人の代名詞ともいえるNHK朝ドラ『おしん』にかけて“おしん横綱”と呼ばれた。 対照的だったのが“新人類”と呼ばれた双羽黒。1986年夏場所の優勝決定戦で千代の富士に敗れたが、優勝経験のないまま横綱に昇進。師匠と大喧嘩して仲裁に入った後援会長とおかみさんにケガを追わせて失踪し、廃業。「2m近い(199cm)の恵まれた体で、精進していたら千代の富士にも負けない大横綱になっていたに違いない」(55歳会社員)◆唯一ランクインした「大関」 千代の富士に引退を決意させたのが、貴乃花(4位)だった。 入幕4場所目の1991年夏場所で初対戦。千代の富士が強引に首を押さえ突き落とそうとしたが、足腰の強さで残した貴乃花(当時貴花田)が体を預ける形で寄り切って初金星を上げた。千代の富士に「体力の限界」と言わしめたのはあまりに有名だ。 貴乃花の前に立ちふさがったのが、ハワイ出身で身長203cm、体重235kgの巨漢力士・曙(13位)。この時代は貴乃花の兄で“若貴フィーバー”を巻き起こした若乃花(三代目、17位)、曙と同じハワイ出身の武蔵丸(19位)の4横綱が鎬を削った。「終盤戦で4横綱が星を潰し合い、大関には貴ノ浪、千代大海、出島がいて、三役常連にも魁皇(16位)、琴錦、武双山、栃東ら実力者がひしめいていた。その中で22回優勝した貴乃花は高く評価できます」(前出・高橋氏) 16位に選ばれた魁皇が横綱になれなかったことが、この時代のレベルの高さを物語る。さらに貴乃花は、世代交代の壁としても立ちはだかった。 飛ぶ鳥を落とす勢いの朝青龍(8位)が新大関となった2002年名古屋場所で横綱・貴乃花と対戦するも、上手投げで完敗。思わず朝青龍が「チクショー!」と叫んだ。貴乃花の引退後、白鵬(6位)、日馬富士、鶴竜らが台頭し、モンゴル時代に突入する。 現役で唯一ランクインした白鵬は優勝43回、幕内通算1053勝など数々の歴代記録を塗り替えている。6位に甘んじたことに料理人の神田川敏郎氏(80)は首を傾げる。「白鵬がナンバーワンであることは、数字が物語っている。なぜこの順位なのか、理解できません」◆大鵬が負けるはずがない さらに時代を遡れば、白鵬がいまだに塗り替えることができない唯一の記録である69連勝を戦前に築いた双葉山(5位)の存在がある。 終戦を挟み、「栃若時代」を築いて戦後の大相撲を支えた、“土俵の鬼”若乃花(初代)が7位、“マムシ”栃錦が10位にランクイン。落語家のヨネスケ氏(71)が懐かしむ。「栃錦のスピードある立ち合いから右上手を取っての出し投げは天下一品だった。一方、若乃花は力業で豪快に相手を投げ飛ばす。街頭テレビから、家庭でテレビが見られるようになった時代で、2人はヒーローだったね」 それぞれの時代を象徴する名横綱たちが、もし時空を超えて戦ったら誰が勝つのか──。NHKが昨年8月に放送した「どすこい!夢の大相撲 令和元年AI場所」は大反響を呼んだ。 日本IBMが開発した「どすこいAI」に現役時代のデータを入力。CGで対戦するという企画で、若乃花(初代)や玉の海ら往年の名横綱が甦り、“大将戦”では大鵬、貴乃花、白鵬の3人が巴戦で激突した。結果は白鵬が2勝、貴乃花が1勝1敗、大鵬は2敗。AIは白鵬が“史上最強”と判断した。 アンケートで白鵬を推した前出・神田川氏は、「白鵬は体がひと回り大きく、パワーに勝る。この結果は順当です」と納得の表情だが、多勢を占めたのは、「大鵬が白鵬に負けるはずがない」という声だ。 同番組に出演していた漫画家のやくみつる氏(60)が語る。「AI相撲では白鵬が左からの突き落としで逆転勝ちしましたが、腰の重い大鵬が土俵際で逆転を食らうはずがない。私が見てきたなかでは最強で、北の湖、千代の富士、貴乃花とやっても大鵬が勝ちますよ」 前出・高橋氏も言う。「大鵬は白鵬のようなカチ上げや張り手を使わず、受けて立つ相撲であれだけ強かった。実際に戦ったら、差し身の早い大鵬が左四つに組み止め、すくい投げか上手投げで決めると思う」 この“最強神話”を超える名横綱は、今後現われるのだろうか。※週刊ポスト2020年3月13日号
2020.03.04 07:00
週刊ポスト
横綱・白鵬 東京五輪土俵入り願うが聖火ランナーがやっとか
横綱・白鵬 東京五輪土俵入り願うが聖火ランナーがやっとか
 2020年初場所を4日目にして早々と休場した横綱・白鵬。白鵬にとって通算14回目の休場となるが、元横綱・稀勢の里(現・荒磯親方)が途中休場を含めて8場所連続で休んだ“前例”がある。「それだけに、白鵬としては進退を問われるような事態はまだまだ先という認識でしょう。ただ、唯一の日本人横綱として人気を誇った稀勢の里と同じような論調で擁護されることはないだろう。力士としてのキャリアはもう“土俵際”といっていい」(若手親方) もともと白鵬は東京五輪開会式での土俵入りを花道に引退し、功績著しい横綱のみに認められる「一代年寄」となる宿願を抱いていた。その野望にも暗雲が立ちこめる。「引退後も現役時代の四股名のまま協会に残れる一代年寄はこれまで大鵬、北の湖、千代の富士(辞退して九重を襲名)、貴乃花に認められた。白鵬は、大鵬の32回という優勝記録を塗り替えたが、協会内には立ち合いやダメ押し、懸賞金の受け取り方など、素行や品格の問題を理由に認めない意見が根強くある。東京五輪も、そもそも開会式で土俵入りがプログラムに入るかもわからない。聖火ランナーの一人になるという程度の話になるのではないか」(同前)※週刊ポスト2020年1月31日号
2020.01.26 07:00
週刊ポスト
白鵬 「問題ある言動」理由に一代年寄を認められぬ可能性も
白鵬 「問題ある言動」理由に一代年寄を認められぬ可能性も
 この1年の横綱・白鵬(34)の成績を振り返ると、「休場」と「優勝」の繰り返しである。 昨年の名古屋場所を途中休場し、同秋場所で全勝優勝するも、九州場所は全休。今年に入ってからも、初場所を途中休場した後の春場所で全勝優勝したが、先場所は全休している。 衰えが隠せないなかでも“出れば勝つ”からこそ、横綱の威厳を保ててきた。それが今場所、ガチンコ勢に遅れを取るようなら、いよいよ引退の二文字が現実味を帯びてくる。 実際、それを見据えた動きも表面化している。引退後、親方として協会に残るには日本国籍取得が条件となるが、場所前の6月28日、白鵬のモンゴル国籍離脱が承認された。今後は日本での手続きに入る。 焦点は、「一代年寄」の資格が与えられるかだ。功績著しい横綱のみ、引退後も現役時代の四股名で親方として協会に残れる制度だが、過去に認められたのは大鵬、北の湖、千代の富士(辞退して「九重」を襲名)、貴乃花の4人のみ。「優勝回数などでみれば白鵬には十分、資格があるが、問題ある言動が多すぎる。貴ノ岩暴行事件への関与、横審によるカチ上げや張り手への警告、優勝インタビューで観客に万歳三唱や三本締めを求めるなど、横綱としての品位に欠ける言動ばかり。それを理由に協会が一代年寄を認めないとする見方も根強くある。 そうなれば白鵬は当然、反発するでしょうから、この先、一悶着あるのは間違いない。いずれにしても、協会執行部に目を付けられている以上、稀勢の里のように7場所も8場所も休み続けることは認められないでしょう。ここからは崖っぷちの戦いが続く」(ベテラン記者) 番付が下がることのない横綱は、“引き際”を自ら決めなくてはならない。だからこそ、難しい。 32回の優勝を誇った横綱・大鵬は、1971年夏場所で引退。きっかけはのちに大関となる当時21歳の貴ノ花に黒星を喫したことだった。第58代横綱・千代の富士も、1991年夏場所の初日に18歳の貴花田(後の横綱・貴乃花)に敗れ、引退の時を悟った。この千代の富士と貴花田の対戦も、「初顔合わせ」の一番だった。今回も先場所初優勝の朝乃山との初顔合わせが控えている。 12年にわたって横綱として君臨してきた白鵬にも、「その時」は確実に迫っている。※週刊ポスト2019年7月19・26日号
2019.07.20 07:00
週刊ポスト
貴乃花は真の大横綱、巨漢力士時代に「寄り切り」で勝ったから
貴乃花は真の大横綱、巨漢力士時代に「寄り切り」で勝ったから
 平成を彩るアスリートを振り返るとき、大相撲の若貴ブームははずせない。ブームではあったがその強さ、とくに弟の貴乃花の大横綱ぶりは今でも語り継がれる見事さだった。巨漢力士時代に「寄り切り」で勝ち続けたからこそ、真の大横綱だったと、元NHKアナウンサーの杉山邦博氏が「大横綱・貴乃花」について語った。 * * * 大相撲の王道を歩み続けた大横綱です。一切妥協することなく真っ正直に立ち向かう姿勢を貫いた、後世に名を留める名力士であり、平成の相撲ブームに火をつけたのが貴乃花でした。 同じ大横綱として大鵬、北の湖、千代の富士の名前が挙がるが、大鵬と北の湖は同世代の力士の中では大柄な体に恵まれました。しかし貴乃花は小錦、曙、武蔵丸ら200キロを超える巨漢力士の中での土俵でした。ハワイ勢の台頭は相撲の国際化に貢献しましたが、そのパワーを見て角界全体が大型化に走ることになり、技より体に頼る力士が多くなって、相撲が大味になっていった時代でもあったのです。 そんな巨漢力士のパワーに席巻されかねない状況下で、逃げることなく正面から立ち向かったのが貴乃花でした。そういった状況下での22回の優勝は価値があるものだと思います。 大横綱と呼ばれた力士たちは、それぞれに強さの個性がありました。出足鋭い北の湖、左前みつを取って一気に寄る直線相撲の千代の富士が攻撃型なら、左右どちらの四つでも対応した貴乃花は、大鵬と同じく防御も備えた横綱でした。横綱在位429勝中、寄り切りが半数を超える。この記録こそが貴乃花の安定感を証明しています。 私は父親の貴ノ花(元大関)の現役時代から自宅に伺う機会が多く、若貴兄弟のことは少年時代から知っていました。子供の頃から父の背中を見て育った兄弟が力士になると聞いた時には、喜びを禁じ得ませんでした。無類の弟思いの兄の勝君(元横綱・三代目若乃花)の全面的な協力もあって、弟の光司君は大輪の花を咲かせることができました。真っ正直に土俵を務める姿は父親譲りのものでした。 父の貴ノ花は横綱になれなかった悔しさが弟子育成のバネとなりましたが、その思いが兄弟にも伝わったのでしょう。兄は父と同じような小さな体で横綱となり、弟は大横綱として一時代を築きました。踵に目があると言われた伯父の初代若乃花の遺伝子もあるのでしょうが、貴乃花の功績は相撲史に長く残ることは間違いありません。 多くの相撲ファンは印象に残る一番として、7場所連続休場の原因となった平成13(2001)年5月場所の武蔵丸との優勝決定戦を挙げますが、私は平成6(1994)年九州場所千秋楽の横綱・曙との一番だと思っています。 前場所に全勝優勝しながら横綱昇進を見送られ、貴ノ花から貴乃花に改名して迎えた九州場所。曙のカチあげに動じず左四つに組み止め、お互いに寄りを投げでしのぐ。動きが瞬時も止まらない大相撲の末、貴乃花が上手投げで逆転勝ちしました。これで2場所連続全勝優勝を飾り、何人も口を差しはさむ余地のない形で横綱昇進を決めました。双葉山以来の57年ぶりの記録となった曙戦こそ、貴乃花の真骨頂でしたね。●取材・文/鵜飼克郎※週刊ポスト2019年5月3・10日号
2019.04.29 07:00
週刊ポスト
重大な岐路に立つ白鵬(時事通信フォト)
まだ帰化しない白鵬、引退後は「親方」か「追放」か
 平成最後の本場所での大関誕生に沸いた角界。今後は貴景勝(22)という新スターが、“最強”の横綱・白鵬に挑戦する構図とみられていたが、そう単純ではない。春場所千秋楽で15回目の全勝優勝を遂げた白鵬(34)への、協会や横綱審議委員会の対応も注目される。 春場所の優勝後インタビューで白鵬が「平成最後の場所なので」と観客に三本締めを促したことについて、横審が苦言を呈したが、「白鵬に対しては、横審は、“強硬姿勢”で臨むつもり」(若手親方)とみる向きもある。 そうなると白鵬の命運を分けそうなのが「帰化」の問題だ。親方として協会に残るには日本国籍が必要だが、白鵬は帰化していない。「“モンゴル国籍のまま一代年寄”という特例を勝ち取る野望を捨てていないからだといわれる。ただ、角界に貢献した大横綱にのみ認められる一代年寄は、過去に大鵬、北の湖、千代の富士(辞退)、貴乃花の例があり、目安は『優勝20回以上』とされるものの、明確な規定はない。だから、北の湖や貴乃花も引退前に通常の親方株も取得していた。 その点、白鵬は日本国籍がないから、通常の株も持てない。休場を続けて横審から事実上の引退勧告にあたる『激励』を突きつけられ、引退に追い込まれるような事態になれば、一親方として協会に残ることすらできなくなる」(同前) 横審の苦言を意識してか、春場所千秋楽で右腕を負傷したと訴える白鵬は土俵入りはできると春巡業に参加。だが、夏場所出場は明言していない。 傍若無人が通るのか、“角界史上最強”を自任してきた横綱が重大な岐路にある。※週刊ポスト2019年4月12日号
2019.04.02 16:00
週刊ポスト
重大な岐路に立つ白鵬(時事通信フォト)
怪我でも病院行かない白鵬の怪、五輪まで8場所連続休場計画も
 大相撲春場所千秋楽では、貴景勝と栃ノ心がそれぞれ大関昇進と陥落をかけてぶつかり合い、正真正銘のガチンコ相撲に館内は沸いた。 ただ、その2番後の結びの一番で“異変”は起きた。 15回目の全勝優勝のかかる白鵬が、鶴竜とまみえたモンゴル横綱決戦。まず鶴竜が押し込むと、白鵬がすくい投げを打って左四つに。そこから攻防を繰り返し、1分を超えた“大相撲”は、白鵬が右から下手投げを打って決着。しかし──。「NHKの実況はしきりに盛り上げていましたが、土俵を広く使い、寄ったり戻ったりを繰り返すのは巡業でよくあるパターンですよ」 若手親方はそう評す。 その一番では、白鵬が土俵下正面の観客席へ倒れ込み、右腕を抱えて顔をしかめながら起き上がった。表彰式でも、賜杯を受け取るのに手助けを受け、「優勝と引き換えに右腕を負傷した姿」が全国の視聴者に印象づけられた。◆奇妙な怪我の真相は ところが、この“大ケガ”には疑問が複数あがった。千秋楽の中継で解説を務めた北の富士氏は、取組後の白鵬を見ながら、「(右上腕が)へこんでいないな。切れるとへこむんだけどな」と感想を漏らしていた。 一方、翌朝の会見で白鵬は、「(筋肉が)切れていると思う」と重傷を強調。にもかかわらず、「病院には行かない。3~4日は休んで考えたい」と説明したのだ。 ケガをした“瞬間”の話も奇妙だ。表彰式では「最後、投げに行った時」と答えていたが、一夜明けた会見では「(立ち合いの)最初の頃」と話が食い違う。前出・若手親方がいう。「上腕二頭筋を痛めたのは事実だと思う。ただ、あまりに大袈裟。(何度も休場した)貴乃花や稀勢の里を意識してのもので、来場所以降に休む“布石”ではないか」 白鵬は「2020年東京五輪の開会式での土俵入りが悲願」と公言してきたが、最近は衰えが隠せない。「休場」と「優勝」を交互に繰り返すような状況だ。「力士寿命を延ばすことだけを考えれば、休場を挟むのは有力な選択肢。ガチンコ全盛で、本場所の土俵は負傷リスクが大きい。白鵬には、千代の富士の持つ横綱としての最年長優勝記録(35歳5か月)の更新という目標もあり、“五輪土俵入り”の後の来年9月場所で優勝すれば塗り替えられる。東京五輪までのあと8場所、“どう休みながら乗り切るか”と考え出すのは自然なことだろう」(協会関係者) 本来、休み続ける横綱は引退だが、今は初場所で引退した稀勢の里の“前例”がある。「稀勢の里は横綱になって最初の場所での優勝と引き換えに左大胸筋を負傷し、翌場所から途中休場を含めて8場所連続で休んだ。遡れば貴乃花が2001年5月場所で優勝と引き換えに右膝を負傷し、7場所連続で全休した例もある。つまり、東京五輪までの『8場所』というのは、休場続きでも引退せずに済む期間ということになる」(ベテラン記者) 実際、千秋楽翌朝の白鵬は「なんとなく稀勢の里の気持ちがわかる」とコメントし、わざわざ自分のケガと重ね合わせてみせた。「稀勢の里がケガに苦しんでいた時は、白鵬が先んじて休場を表明し、稀勢の里が“上位陣が揃って不在というわけにはいかない”と強行出場せざるを得ない状況を作り出しているフシもあった。今の一番人気は貴景勝ですが、同様に“ガチンコ場所の負傷リスクはお前が負え”とばかりに休む展開が考えられる」(同前)※週刊ポスト2019年4月12日号
2019.04.01 07:00
週刊ポスト

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