俺が(東京都)知事をしていたときに、角さんが生きてたら助かったと思うね。尖閣諸島の問題にしても、俺が国民に募金を呼びかけたらあっという間に16億円集まったわけだけど、いまだにそれを使えないんだよ。政府も外務省も腰抜けだから。アメリカとの関係をこれからどうしていくのか、それを考える予見性を持った政治家がいない。

 安倍首相は良くやっていると思うが、それでも角さんとはスケール感が全然違う。憲法改正にしても、角さんがいたら、もっと違うことをしていたと思うね。野党も懐柔して、「君たち、これはどう思うんだ」って意見を聞きながら、同時にレトリックで追い込んでいって、有無を言わさない形で十分持っていったと思う。

 それと、自民党は18歳選挙権にしたでしょう。自民党は大変になるよ、これから。実は俺が参院全国区のとき、ヨーロッパのマネをして選挙権を18歳に下げようと、若い議員や学生を集めて大きな講堂借りてキャンペーンをやろうと思ったんだ。そこで、当時幹事長だった角さんのところに行ったら、「何を言ってるんだ君!」って怒鳴られた。「選挙権なんていうのは、20歳でも早すぎる、25歳でいいんだ日本人は!」って(笑い)。

 そんなバカ話を含めて、角さんみたいにひらめきがあって、国民の琴線に触れる言葉を持つ政治家は、もういないね。

※週刊ポスト2016年2月12日号

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