「福士は昨年10月のシカゴマラソンも走っているので、約半年の間に3回もフルマラソンを走ることになる。ここで蓄積した疲労がどう出るか。名古屋から8月のリオ五輪までは準備期間も短いですし、もし、名古屋で圧倒的な走りを見せることができなければ、『五輪の舞台でベストを出せるのか』と陸連が難色を示すかもしれない」(スポーツ紙記者)
では、名古屋に出場するほかの選手たちは、福士が大阪で出したタイムを上回ることができるのか。
最大のライバルと目されていたのは、昨年の名古屋で2時間22分48秒の自己ベストを出した前田彩里(ダイハツ工業)だったが、故障のためすでに欠場が決まっている。スポーツライターの酒井政人氏が解説する。
「今のところ有力視されているのは、アテネ五輪金メダリストの野口みずき(シスメックス)と、2013年の名古屋で優勝した木崎良子(ダイハツ工業)、そして、2014年の横浜国際で優勝した田中智美(第一生命)。この中で注目は木崎です。調子が整えば、名古屋のコースは平坦ですし、派遣記録突破の可能性は十分ありえます。ただ、3月なので気温が上がるとタイムを落としかねません」(酒井氏)
もし木崎が記録をクリアしても、残る2枠を福士と木崎が分け合うことになるので、福士には名古屋を走る合理的な理由がない。
※週刊ポスト2016年2月26日号