投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が2月22日~2月26日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い展開が見込まれる。引き続き米国の追加利上げの時期、原油価格動向、そして、中国の経済情勢と株価動向を主な見所に方向性を探ることになる。米追加利上げ時期については、市場関係者の大半が3月の可能性は極めて低いとの見方に傾いており、早期追加利上げ観測は後退したままだが、ドル・円相場が急変する状況ではないとみられる。
市場関係者が注目している原油相場については、産油国間で生産量維持について合意が形成されつつあり、原油価格の下げ止まりは期待できる。中国経済については、主要経済指標の発表は予定されていないが、3月の国内政治イベントを控え、政策期待で株価は下支えされる見込み。原油、株式相場の急変がない場合、リスク選好的な円売りのフローが増える可能性がある。
【米金利見通し:市場が予想する利上げ確率は低いまま】
米1月生産者物価指数が前月比プラスに転じ、1月鉱工業生産は予想を大きく上回ったことで経済に対する悲観的な見方はひとまず後退した。しかし、1月26-27日開催のFOMC議事録で、金融混乱や中国の経済鈍化を受けて下方リスクが上昇したとの見解が明らかにされており、景気回復や早期追加利上げに対する懐疑的なムードが再び広がっている。市場が予想するFRBの3月利上げ確率(18日時点)は4%台にとどまり、12月時点でも30%台になっている。
【原油相場動向:産油国は生産量維持の提案支持】
原油については、前週、サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国が原油の生産量を1月の水準に据え置くことで合意した(他の産油国も同意することが条件)。イラクがいち早く賛意を示した後、イランが「ドーハ協議の原油生産量維持の提案を支持」(ザンギャネ石油相)と表明した。リビア、アラブ首長国連邦も相次いで支持を表明しており、原油価格の下げ止まりが期待できる状況になっている。
【中国株:政策期待で下げ止まりか】
中国については、今週春節明け最初の国務院常務会議で李克強首相が景気刺激策の実施を示唆したことが報じられた。そして、3月3日から全国政治協商会議が、5日からは全国人民代表大会が開幕することも意識されている。株価堅調見通しの論拠になるものとみられている。
【3月期末要因:日本国内で円買い需要残る可能性も】
日本では3月の本決算を前に、2月に外債投資に絡む償還や利払いが集中する傾向がある。中旬までに円転(外貨売り・円買い)がある程度出たかもしれないが、月末にかけてまだその余地は残るとみられ、ドル・円はじめクロス円の上値はやや重くなるとの認識も必要になりそうだ。
2月22日-26日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。