◆男女差はあるの?
尿酸値については同じものを食べても男女で違いがあるという。
「女性ホルモンが尿酸を排泄する働きをもつとされていて、女性の方が尿酸値が上がりにくい」(同前)
◆本当に怖いのは痛風じゃない
尿酸値が高くなることによる深刻なリスクを大山理事長が指摘する。
「尿酸値が高いと血管内で炎症を起こしやすい。この炎症により血管の通り道が狭くなり、血栓ができることで動脈硬化を引き起こしてしまう。最終的には心筋梗塞などの心疾患や脳卒中のリスクが増します」
この動脈硬化のリスク上昇は「血糖値が高い場合も血管に炎症を引き起こしやすくなる」(前出・泰江院長)ので同様だという。命にかかわる病気だけに注意したい。
◆血糖値と認知症は関係ある?
糖尿病を発症すると、アルツハイマー型認知症のリスクも高まるという新たな研究結果が注目されている。
「オランダで糖尿病患者を調べた追跡調査によると、アルツハイマー型認知症になる確率が2~4倍高いことが分かった。そのメカニズムは完全には解明されていませんが、高血糖が脳神経にダメージを与えるのではないかといわれている」(前出・泰江院長)
◆血糖値とがんの関係は?
血糖値が高いとがんの発症リスクが高まるという報告もある。高血糖が原因でインスリンの血中濃度が慢性的に高い「高インスリン血症」になると、それによって腫瘍が増殖すると推定されている。
「がんは糖尿病患者の死因として非常に多い。血糖値に注意することは糖尿病予防だけではなく、がんや動脈硬化、様々な合併症を防ぐためにも必要なのです」(芝浦スリーワンクリニックの板倉弘重名誉院長)
◆ほかにもある危険な発症リスク
尿酸値が上昇すると「腎臓結石」になりやすいことにも注意したい。
「どうしても痛風ばかりを気にしがちですが、腎臓の石の大部分は尿酸でできているため尿酸値が高いと結石ができやすくなる。背中やわき腹を強烈な痛みが襲います」(前出・秋津院長)
※週刊ポスト2016年3月4日号