日本では、いまだにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する脅威論も根強い。しかし、実際には庶民は多くの恩恵を受ける可能性が高い。第一生命経済研究所の主席エコノミスト・永濱利廣氏の見方だ。
「まず関税が撤廃されることで、輸入する食料品や衣類などの日用品が安く買えるというメリットが考えられます。日本の農業が追い込まれるという指摘もありますが、一方で世界中で人気の高い和牛などを世界で売る機会が増えることも予想されます」
山口氏は金融サービスの多様化をメリットに挙げる。
「日本の住宅ローンは返済できなくなったら、担保の家を取られ、それでも足らなければ残りのローンを払い続けなければなりませんが、アメリカの場合は払えなくなったら家を銀行に渡して終了。実はこれが世界標準であり、住宅ローンはもっと使いやすくなるかもしれません」
さらに、山口氏は「アメリカ経済は日本にとって良いことだらけ」だと強調する。
「新しいものを発想するのが得意なアメリカ人と、精密かつ誠実にモノづくりができる日本人というのは世界最強の組み合わせです。日米関係の進化が、さらなる成長を日本にもたらすと私は確信しています」
※週刊ポスト2016年3月11日号