大学生協の調査によると、1日のうち全く読書をしない若者の割合が過去最悪の数字を記録した。「若者の本離れ」はさらに加速していくのか。しかしコラムニスト・オバタカズユキ氏は別の数字に注目する。
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若(バカ)者たちの記録更新、読書時間ゼロの大学生がついに45%に!
煽り系の見出しをつけるなら、上記のような感じになるだろうか。先月の24日に全国大学生活協同組合連合会(大学生協)が概要を発表した「学生生活実態調査」の最新版によると、大学生の1日の読書時間の平均は28.8分、前年から1.5分短縮したとのことだ。そして、読書時間は「0」と回答した学生の率が45.2%と前年より4.3ポイント増加、2004年の調査開始以来、最高(最悪)記録を更新した。
本づくりを生業にしている自分としては由々しき事態である。若者向けの雑誌や書籍がとにかく売れなくなって久しいが、45.2%が「0」じゃ、対処のしようがない。そもそもそこにはニーズがないと見切り、中高年向けのテキスト制作に励む方が現実的なのだろう。若者はもう、出版商売のお客さんではなくなっているのだから。
しかし、である。そういう絶望的な気持ちになるのと同時に、この大学生協のデータを冷静に見ていると、「いや、待てよ」という思いもしてくる。たしかに、45.2%は読書時間「0」なのだが、それはつまり54.8%は「読書をしている」ことを示すデータなのではないか。
より具体的には、1日の読書時間「30分未満」は10.6%、「30分以上60分未満」は23.3%、「60分以上」は20.0%と出ている。また、「120分以上」も6.9%存在しているとのことだ。1日2時間以上読書をしていると答えられる学生が、15人に1人以上いる計算だ。それって、いわゆる読書家の若者もしっかり生き残っている、というデータではないか。
大学生協の発表を受けて、ネット上では、大学生の読書離れを嘆く派と、ステレオタイプに嘆く者の態度を嗤う派に二分されていた。が、個人的にはどっち派でもなく、この調査報告の見どころは、45.2%よりも6.9%のほうにあるような気がしてならない。
ちなみに、2004年の調査以降、「120分以上」の層は4.5~7.5%の間を推移しているとのことである。決して、この層は薄まっていない。「60分以上」と枠を広げてみても、20%台をずっとキープしている。今回のデータでは、20.0%とぎりぎりだったが、それでも学生の5人に1人は、毎日1時間以上読書をしていると言っているわけだ。これはすごい話だ。