中川:ですよね~(笑い)。
勝谷:でも、僕は生まれてから一度もデータ原稿は書いたことがありませんね。完成原稿しか書いたことがありません。
中川:本当ですか!?
勝谷:いや、週刊文春のときは、早く寝たかったから20~30行オーバーしてても、そのままデスクの机に原稿を投げて帰ってたんだけどね(笑い)。「適当にやっといて~」って。平社員なのに(笑い)。
中川:じゃあ、それは(デスクが自由に)消していいよ、っていう話なんですか?
勝谷:でもゲラになったのを見て、怒ったりしたよ。「肝心なところを消すなよ!」って(笑い)。
中川:すごいですね…。ところで、どうして勝谷さんが別荘なんかを建てたりできるほど物書きとして成功したのかということが、視聴者が一番気になるところだと思うんです。どうして筆一本でここまで来れたのか、それを教えてほしいんですよ。
勝谷:うーん。まあでも、ベストセラーを出して1冊で何億も稼ぐような人をのぞいて、雑文だけで稼いだ額を考えたら、たしかに生涯賃金が一番多いのは僕かもしれない。
中川:そうですよ。で、どうしてそれだけ稼げたのか。
勝谷:まず、重要なのがとにかく速い。そして量を書く、ということだと思うね。
中川:それはキーボードを打つのが速いっていうことですか?
勝谷:もちろん。それとプロットも何もなしでも、キーボードに向かうと文章が頭の中でできる。だから、膨大な文章が量産できる。で、そこに乗じたのが文藝春秋で、あそこにいた10年間でどれだけタダの文章を書かされたことか!
中川:でも、そのときのトレーニングが…。
勝谷:役に立ってたのかなあ…。まあ、でも速く書けるっていうのは何よりだよ。原稿は編集者とのすり合わせだから。とにかく書かないことには直しようがない。まあ、僕は直されたことはまずないけどね。あんまり直されると突然キレて「もう書かない!」ってなっちゃうから(笑い)。
中川:週刊SPA!の連載が終わったのも、そういうことだったんですか? オレ、勝谷さんがSPA!からいなくなるのが超寂しかったんですよ。
勝谷:いや、SPA!の連載が終わったのは、編集部の方針だね。まあ、SPA!がどうかはわからないけど、紙の雑誌はお金がないんだと思うよ。SPA!以外も全部連載は切られたんだけど、僕は原稿料を値切られるのがイヤなんだよ。もしも値切られたら、そこで「辞める」って言う。原稿料を値切られても書くようなライターにはなるな!
中川:おお、名言出ましたね。
勝谷:そりゃそうでしょ。キャリアはどんどん積んでいくものなんだから、原稿料が上がることはあっても、値切られるのはおかしいよ。
撮影協力■ネコ文壇バー 月に吠える