地元の出版社に勤める男性(50代)からは、悪しきならわしについての苦言も寄せられた。
「『京都ぎらい』でも書かれていましたが、古寺が要求する志納金には辟易しています。寺の写真を載せるには、1点につき3万円程度かかります。名目では“寄付”というくくりですが、実際は強制的。拒否する権利はわれわれにはありません。資本力がなければ地元民なのに京都特集を組めないのが口惜しい」
県民性博士として知られる矢野新一さんは、『京都ぎらい』が話題を集めた理由についてこう分析する。
「京都以外の人がこの本を絶賛するのはわかるんですよ。千年のプライドを持つ京都から冷たい仕打ちを受けた人は多いですから(笑い)。でも、地元民が京都批判を受け入れることが画期的ですよね。
考えられるのは、世代交代が進み、今までの中華意識を持たない若い世代が増えてきたことではないでしょうか。そしてシニア世代も今はフットワークが軽いですから、京都以外の世界を知ったこともあるでしょう。もっというと京都人は、観光客が増えすぎたと考えているのかもしれませんね。彼らは頭を下げてまで京都に来てもらおうと考えていませんから、『京都ぎらい』という“ふるい”にかけても問題ないのでしょう」
※女性セブン2016年4月14日号