寺内容疑者は初対面の少女にフルネームで呼びかけた。容疑者が面識のない少女のフルネームを知ったのは、下見の中で、少女の自宅玄関先にある傘に書いてある名前で判明したと供述している。親は子供が持ち歩く物に名前を書く際は、あまり人目に触れない場所に記すべきという教訓になった。
またフルネームで呼びかけられることで、子供はその人が「自分のことを知っている」と思い、距離感も縮まる。ちょっとしたことのようだが、どんな人が怪しいかを見分けるのは、子供にとって非常に難しいことなのだ。
そこで清永さんは「はちみつじまん」という合い言葉をすすめる。
「は」…話しかけてくる人
「ち」…近づいてくる人
「み」…見つめてくる人
「つ」…ついてくる人
「じま」…じっと待っている人
そういう人に会ったら『ん?』と注意する。
「不審者はサングラスや黒い服を着ているのではなく、見た目はいたって普通。不審な点は明らかに“態度”に表れるので、子供には『はちみつじまん』を覚えさせることを徹底しましょう」
一方で、誘拐犯に声をかけられやすい子供には、いくつかの特徴があるという。
「ひとりきりでいたり、ぼんやりキョロキョロしている子。気が弱そうで、きっぱり断ることができなさそうな子。愛想がよく、話しかけられたらフレンドリーに対応する子もねらわれやすい。スポーツができそうだったり、容姿に自信がありそうな子は、『かわいいね、雑誌モデルにならない? 近くでオーディションをしているから』と子供の自負心に呼びかけて招き寄せるケースもあります」
※女性セブン2016年4月21日号