国内

「スマホ分からん!」などでキレる老人 その理由を脳の観点から考察

 最近、キレる老人による事件が増えている。たとえば、タバコのポイ捨てを小学1年生男児から注意された75歳の男が男児の首を絞めて逮捕されたという騒動なども。なぜ、キレる老人が増えているのだろうか。「脳」の観点からこの問題を考察するのは、脳情報を提供する「脳の学校」の代表取締役で医学博士の加藤俊徳さんだ。

 これまで1万人以上の人間の脳と向き合ってきた脳のスペシャリストは、「脳の老化こそキレる原因」と指摘する。

「高齢者の脳は、使っていない範囲がどんどん増えていき、それに伴って脳の機能が衰えていきます。それゆえ物事に対する理解力が低下して感情的にイライラしやすくなる。一方で、老化によって、脳内の感情をコントロールする部分が縮み、怒りの感情を抑制することが難しくなります。理解力の低下と感情を抑制できなくなることが車の両輪となり、暴走老人を生むのです」(加藤さん)

 脳はさまざまな機能を分担する「脳番地」に分かれて働いており、そのうち、物事や言葉を理解するのに関係する「理解系脳番地」と、感性や社会性に関する「感情系脳番地」の働きが劣化することで、キレる老人が出現するというのだ。

 携帯ショップで昨今よく見かけるが、ガラケーからスマホに変えようと店を訪れた高齢者が「ちっともわからないよ! もっとわかりやすく説明しろ!」とキレる場面などが良い例だ。

「この高齢者は、スマホを使いたいのに、店員の説明がまったく理解できずに腹を立てます。しかも増すばかりのイライラを抑制できず、ついには人目もはばからず、店員相手にキレてしまうんです」(加藤さん)

 老年精神医学に詳しい精神科医の和田秀樹さんは、加齢による脳機能の低下により、もともと持っている性格がさらに「剥き出し」になるとも指摘する。

「イライラしやすい、キレやすいという性格は、その人の持って生まれた脳やホルモンの働きによる部分が大きい。老化により脳の機能が低下すると、そうした性格がさらに顕著になります。もともと短気でキレやすい人は、高齢になるとさらにキレやすくなるんです」

 高齢者と女性のカウンセリングを専門とする「あしかりクリニック」の芦刈伊世子院長が「キレる老人になりやすいタイプ」を挙げる。

「若い頃から人の立場や考え方を尊重しない自己中心的な人は、何があろうが“自分は悪くない。悪いのは他の人だ”と思い込んで逆上しやすい。周囲から『あなたは自分のことしか考えていない人ね』と指摘された経験のある人は要注意です。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト