経済的に豊かで挫折を知らずに育った人も、老後に自分の思い通りにならないことがあると即座に怒りをぶつけがちです。また会社で役員まで出世するなど、社会的な地位が高い人も、リタイア後、新たな人間関係を築けずに周囲から孤立し、暴走してしまうというケースもあります」
では、キレる老人にならないためにどうすればよいか。加藤さんは「普段から脳を鍛える」ことを提唱する。
「普段使っていない脳の部分を使うことでキレにくくなる。そのためには、万遍なく脳を働かせることが大事です」
そんな加藤さんがオススメするのは意外にも「運動」だ。
「下半身を使った運動をすることで脳内に酸素がまわり、脳の活動が活発になります。しかも外で活動する時間が長いほど他人と接する機会も増え、孤立することを避けられます。たとえば玄関の掃除でも家の周囲まで延長すれば、近所の人と話すきっかけになる。家に閉じこもることはなるべく避け、散歩を日課にするなど、毎日7000歩は歩くことを心がけましょう」
脳にとって「ルーティン」は歓迎すべきことではない。常に気持ちを新鮮にすることも大切だ。
「日常で常にワクワク感を持つことは脳の活性化にとても有効です。女性ならネイルをしてみたり、新しい服を着てみてはいかがでしょうか。ボランティア活動を始めたり、毎日の料理で新しいメニューを試すことでもいい。小さなことの積み重ねが“キレる瞬間”を生み出さない秘訣です」(加藤さん)
そのためには、家族のサポートも不可欠だと指摘するのは、前出の和田さんだ。
「お年寄りは機嫌がいいときはトラブルが少ないんです。“お年寄りを敬え”というのは、トラブルを避けるための昔の人の知恵。必要なのは、できるだけ機嫌をとってあげること。お年寄りがイライラしても決して反論せず、『そうだね』『わかるよ』と理解を示して受け流す。お年寄りは感情のコントロールがきかず、『でも』『だって』と反論されると、怒りがどんどんエスカレートします。イライラし始めたら、サッとおだてて機嫌よくさせることも立派な家族のサポートになります」
※女性セブン2016年4月21日号