──近大はニュースに取り上げられることも多く、情報発信が上手というイメージがありますが。
「ええ、私自身も近大を取材していく中で、広報部の戦略的な取り組みは特に印象に残りました。例えば記者会見一つとっても、ビジュアル的工夫や実際に近大マグロを食べてもらう体験を組み込んだり、と立体的です。どうすれば新聞のベタ記事だけに終わらせず大きく扱ってもらえるか、あるいはテレビニュース、ワイドショー、雑誌、ネットニュース、ブログ、SNSと多様なメディアに情報が載るか、徹底して考え、そこから記者会見の形を組み立てていく現場の姿は新鮮でした」
──大学なのに、戦略的な情報発信をしている?
「と思いますね。『少々大学界の常識を逸脱しても目立つ広告』『大学名を隠しても近大の広告だとわかる広告』といった原則を常に心がけて、ポスター一つにしても決して広告代理店に丸投げしない、とインタビューした広報担当者は言っていました」
──いつまで近大の勢いは続くと思いますか?
「今、大規模な施設整備計画『超近大プロジェクト』を展開中で、完成が2020年ということですから、今後もしばらく刺激的な変化や話題を発信し続けるでしょう。私自身は『志願者数日本一』という視点から本を執筆しましたが、民間企業に当てはめて考えれば、日本一売れる商品を作ったとか、業界で日本一になった、ということにも通じる成果です。
つまり、近大の取り組みは大学界とか教育界という狭い枠組だけでなく、ビジネス界にとっても役立つノウハウが潜んでいると感じました。少子化人口減という課題に向き合わざるをえないのは教育業界も企業も同じ。近大は真っ先にその課題に対応し有効な方法論を練り上げようとしている、と言えるのかもしれません」