第三に、日本には優秀な官僚がたくさんいるので、1970年代のように、政治家が官僚の話に耳を傾けることも重要かもしれません。

 世界での競争力が落ちてしまった日本のモノ作り企業ですが、先進技術やエンジニアの勤勉さという日本の大きな武器をいかせば、まだ競争力を維持できると思います。

 この10年のうちには、無人自動車が出てきますが、自動車などの機械分野では、日本はまだ強さを発揮できるでしょう。ロボット技術も注目されていますし、人工知能も、海外でもっと勢いをつければ、期待できると思います。

 また、今後10~20年は、日本にとってはeコマースなどの情報産業が重要になり、その中で日中関係は深まってくると予測しています。今、中国人の“爆買い”が起きていますが、日本が先進技術で作った物を中国人が買うという傾向は、どんどん進んでいくでしょう。

 観光の点では、昨年は、中国から日本への訪問が500万件ありましたが、これも、もっと増えていくと思います。

 学問の点でも、日本から中国に留学する学生の数が、米国に留学する学生の数を追い越しました。学問、観光、経済で、日中関係は強化され、環境や医療面でも、協力体制に入ると思います。その意味で、東アジアの将来について、私は楽観視しているのです。

●取材・構成/飯塚真紀子 (在米ジャーナリスト)

※SAPIO2016年5月号

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