週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さんが亡くなった。ミスターが、通算868本塁打の世界記録を持つ王貞治氏、史上最多の通算400勝をあげた“カネやん”こと金田正一氏との3人で丁々発止のやり取りを繰り広げてきた週刊ポストの新年号名物企画が『名球会ONK座談会』だ。
企画がスタートした1980年オフは“10・21長嶋監督電撃解任”があり、王氏も22年間の現役生活にピリオドを打つ激動のオフだった。名球会のハワイ総会を機にカネやんを司会役とした座談会が実現。毎オフ恒例の人気企画となった。ミスターは評論家・解説者の時も現役監督の時も、賑やかな野球談議を楽しんでいた。
記念すべき第1回(1981年1月9日号掲載)はミスターが浪人1年目で、引退直後の王氏は巨人助監督に就任していた。カネやんと王氏が“生々しい話題”を繰り広げるなか、ミスターはマイペースだ。
金田:ワンちゃん、何で助監督を引き受けたんや。
王:ウ~ン、あんなこと(長嶋解任を指すらしい)になって、ボクも逃げるわけにはいかないじゃない。
金田:それがワシにはどないしてもな、納得できん。
王:じゃァ、どうしろっていうのよ(やや興奮して)。カネさんはボクにどうしろっていうの。
金田:オレの意見は監督、監督になるべき。
王:そんな無茶な……。
金田:本当はシゲがもう1年やって優勝して監督をワンちゃんに譲ればよかった(ON沈黙)。オレ、シゲをほめるわけじゃないけど、投手陣だけはたいしたもんだぜ、出来上がったもの。
長嶋:投手陣は建設できましたからね。あとは野手を、という段階でしたからね。
〈座談会中盤ではミスターが1958年のプロデビューを振り返った。国鉄との開幕戦が、金田氏との初対決だった。〉
長嶋:金田さんのタマは速かったですね。開幕日に、ボク本当にびっくりしました。
金田:あの4打席4三振ね。あの日はバイオリズムの最高のポイントに入っていたんだよ。ワシもあれいらい、あんな球はシゲに投げていないはずや。それぐらい凄いピッチングやった。
長嶋:みんな4打席4三振というけど、本当は5打席5三振なんです。翌日、また金田さんがリリーフで登板してきて、三振させられたんです。