『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著書で知られるエズラ・ヴォーゲル氏。その出版から37年、不況が常態化し、隣国・中国の成長を目の当たりにするなか、再び我々は自信を失いつつある。今回、ヴォーゲル氏に「2050年の日本」についてインタビューした。
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2050年を見た場合、日本は人口が減って、中国やインドと違って、経済成長も期待できない。日本は今、世界第3位の経済大国ですが、4位、5位と転落して、これまで持たれていたような“優れている国”というイメージはなくなると思います。世界のトップクラスにではなく、ヨーロッパと同じレベルの中間クラスに属する国になると予測しています。
しかし、予測されるそんな未来を改善していくことはできると思うのです。そのために第一に重要になるのが、本田宗一郎や松下幸之助のように、ハングリー精神が旺盛で、大胆なリスクが取れるオーナー企業が生まれること。日本の大企業はリスクを取らなくなり、すっかり官僚的になってしまいました。サムスンが東芝や日立を追い越してしまったのもそのあたりに大きな原因があります。
第二に、日本はもっと国際化を進めるべきです。優秀な外国人を雇用していた明治時代と比べても、現在の日本の国際的環境作りはお粗末です。日本人の英語力は40年前と比べれば少しは良くなったものの、まだ十分とは言えない。
大学ではどんどん英語を使うようにすべきでしょうし、他国に合わせて、大学を9月入学に変更して、優秀な外国人を呼び込むべきです。
日本企業の国際化も重要です。全世界の情報が集まって来るシリコンバレーには、中国やインドの企業は数多く進出していますが、日本企業も、もっと進出すべきでしょう。