ビジネス

大塚家具の内紛 裁判勝利の父が新業態準備で反転攻勢なるか

裁判で父に敗れた大塚久美子社長

 大塚家具の創業者で元会長の大塚勝久氏(72)と娘の久美子社長(48)による親子対立が新展開を迎えた。昨年1月に起きた委任状争奪戦で敗れた勝久氏が退任し、父娘喧嘩の勝敗は決したかに見えたが、この4月11日、勝久氏が久美子氏に17億円の社債返還を求めていた裁判で、勝久氏が全面勝訴したのだ。

 もっとも、これで勝久氏のもとに大塚家具が戻ってくるというわけではない。

「社債返還は、大塚家の資産管理会社『ききょう企画』に関するもので、あくまで大塚家の遺産相続の問題です。勝久氏は、昨年の株主総会以降、個人所有の大塚家具の株式売却を進め、今では8%程度しか保有していません。大塚家具の経営に介入する力は勝久氏になく、その気もないでしょう」(経済ジャーナリストの松崎隆司氏)

 勝久氏はいま、どうしているのか。都内の超高級住宅地にある自宅を訪ねた。各国の大使館や洋館風の建物が立ち並ぶ通りにある邸宅は、漆喰の塀と高い樹木に囲まれた大名屋敷のような日本家屋だ。チャイムに反応はなく、かろうじて庭の木を手入れする植木屋の姿が見える程度で、近隣住民に聞くと「勝久さんの姿はしばらく見ていない」という。

 それもそのはず、勝久氏は「第2の大塚家具」を設立するべく奔走中で、自宅でくつろいでいる暇もなかった。いまはオープン間近でその準備を進めている真っ最中なのだ。

 それが、4月22日に東京日本橋タワーの25階にオープンする「匠大塚」である。勝久氏が退任後に設立した新会社で、高所得者層をターゲットにした提案型の高級家具店。ショールームは完全予約制だ。会員制を廃止し、大衆化路線を進む久美子氏体制の大塚家具とは正反対のコンセプトだ。

 匠大塚の特徴は、近年ヨーロッパで盛んになっている家具の「コーディネート」を重視するところにある。

 これは購入者が単品ごとに家具を選ぶ負担を軽減し、プロが窓口となって顧客の各住居に合わせて、どうレイアウトするかまで考えながら商品を選ぶシステムだ。勝久氏は3月、ニュースサイト『東洋経済オンライン』のインタビューに、

「オリジナルのイタリア製ブランドを含め、20以上のブランドの家具を一堂に見ることのできる、いわばデザインオフィスが匠大塚です。クオリティの高いインテリアを作りたいという意識を持つ人は、自分ひとりでそれを完成させようとはしません」

 と、新ブランドの特徴を意気軒昂に語っている。

関連キーワード

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン