ビジネス

お母さん目線で再建図るマクドナルドのカサノバ社長 その素顔

日本マクドナルド社長兼CEOのサラ・カサノバ氏

 会見では冷淡なキャリアウーマンといった雰囲気を見せる、日本マクドナルドのサラ・カサノバ社長兼CEO(51才)。苦境に立たされる同社の立て直しを担う彼女は、本当はどんな女性なのだろうか? 女性セブンはカサノバ氏に密着取材を敢行、その素顔に迫った。(文中敬称略)
■インタビュー・構成/山川徹(フリーライター)

 * * *
 3月中旬の陽気な昼下がり、東京郊外にある店舗の客席は、卒園式を迎えた幼稚園児とその母親たち、仕事の合間に立ち寄ったサラリーマン、部活帰りの女子中高生たちで賑わっていた。

 その客席に、一見似つかわしくないスーツ姿の白人の女性が行ったり来たり。走り回って転んだ子供を抱き起こしたりとお節介を焼いて回っている。ふと、高校の試験勉強をしている2人の男子生徒を見つけると、隣に腰を下ろした。

「ハーイ、私はサラです。何の勉強してるの?」

 同時通訳を介しながら、馴れ馴れしく話しかけてくる外国人に高校生は怪訝顔。それでも、彼女の弾ける笑顔と大きな笑い声にすぐに引き込まれてしまった。

「その科目は難しいわよ。私も学生の頃に苦労したわ。ところで、好きなメニューは?」
「ポテトっすね」
「そうなの! じゃあ、新商品を出すとしたらどんな味つけがいい?」
「う~ん、明太子味かな」
「グッド! すぐ検討するわね」

 そんな客席の一角に座って、やっとインタビューが始まった。彼女はサラ・カサノバ(51才)。2013年8月から日本マクドナルドの社長兼CEO(最高経営責任者)に就いている。

「みなさん、テレビで私のことを見ると“怖い人”って思うらしいんです。でも本当は、全然そんなことないのよ。ね、そうでしょ?」

 カメラを向けると、カサノバは「10才若く撮ってね」と笑みをこぼした。そんな屈託のなさを、意外に思う人も多いかもしれない。

 彼女の“怖い人”イメージが定着したのが、2014年7月に行われた記者会見だった。

 2014年7月、中国・上海の食肉加工会社による期限切れ鶏肉使用疑惑が発覚した。中国当局は日本の厚労省に対し、「対日輸出した食品に問題はない」と説明したが、世間を大きく騒がせた。さらに翌年明けには異物混入が大きく報じられた。

 会見でのシリアスな表情が与えた冷たい印象、また謝罪のタイミングなどに非難が集まり、マスコミはこぞってバッシングした。そうした不祥事の影響を受けた2015年度は、380億円の赤字。マクドナルドはかつてないほどの苦境に立たされた。

 だからこそ、カサノバは「お母さん目線」を全面に打ち出して、経営再建を図っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン