「私が育った小さな町では外食する機会が少なかったので、子供の頃は母の手作り料理ばかり食べていました。私の母も、私もそうですが、子供に安心、安全で、栄養があっておいしいものを食べさせたい。そんな気持ちは、日本だけでなくどの国のお母さんも同じです」
昨年度からスタートしたのが、マクドナルドの食の安心、安全を向上させていく「ママズ・アイ・プロジェクト」。その一環として昨年1年間でカサノバは、日本全国47都道府県の母親352人と実際に会って、マクドナルドに対する意見や要望を直接聞く〈タウンミーティング with ママ〉を行った。
カサノバ自身も一人の母親として「子供たちが食べる食品の情報をいつも知りたいと思っているんです」と語る。
「実際に会って話を聞いてみると日本のお母さんも同じ気持ちだったんだなとわかりました。やっぱりお母さんの気持ちはどこの国でも変わらないのね、と」
マクドナルドはホームページに商品の主要原材料の原産国や最終加工国の情報を公開している。ハンバーガーなど商品のパッケージについているQRコードにスマートフォンなどをかざしても、そうした情報にすぐにアクセスできるが、カサノバはそうした情報発信が広く知られていないのではないかと感じていた。そこで、サイトをリニューアルし、商品パッケージのQRコードも大きく目立たせることにした。
さらに消費者に質問を募ったところ、4000を超える疑問が寄せられた。〈ハンバーガーのお肉は本当にビーフ100%?〉〈バンズは何でできているの?〉〈コーヒーのおかわり自由は復活しますか?〉…そんな素朴な疑問から〈ハンバーガーは長い間放置しても腐らないと聞きました。本当ですか?〉〈ミミズ肉が使われているって本当ですか?〉といった都市伝説じみた質問にもHPで丁寧に回答していった(それぞれ、〈保存状態、保存環境によってマクドナルドの商品ももちろん腐敗します〉、動画で〈いや、それはまったくの嘘です。そういう事実は全くございません。牛肉を100%使っています〉と説明)。
「本当のことを教えてほしいというお母さんの気持ちに応えたいと思ったんです」とカサノバは語る。実際に女性を中心とした消費者とともに農場や加工場の見学を行うほど徹底して母親たちの疑問や不安に答えていった。
そんな地道な取り組みの影響だろうか。昨年1月から今年3月までの既存店売上高の前年同月比が4か月連続のプラスに転じた。客数も3か月連続で増加。カサノバの「お母さん目線」の効果が、徐々にだが確実に表れ始めている。
※女性セブン2016年5月5日号