著者が英語とともに大胆な予想を掲げているのが女性活躍社会の到来だ。医師の75%、企業CEOの35%、役員の50%を女性が占めるというのだ。
同書では日本の「特別国家活性化委員会」が、外国人女性を家政婦として受け入れ女性の就業を後押しし、2004年に上場企業の役員4割を女性にすることを義務付けたノルウェーを手本に、2030年までに女性役員50%を企業に課すなどの政策を取るとしている。
現在、日本では、2020年までに社会のあらゆる分野で指導的地位を占める女性の割合を30%に、という目標が掲げられていたが昨年末に断念し下方修正された。今の女性比率は上場企業の役員2.8%、国家公務員課長級以上3.5%というのが現実だ。
女性の社会進出などについて研究する和光大学教授の竹信三恵子氏は「日本の現状を知らない著者の夢物語」と厳しい。
「保育園の待機児童解消、労働時間規制、政策意思決定に関わる女性国会議員の割合改善の3つの柱を複合的に取り組まねば無理です。政府は『女性活躍』を掲げているが、具体的な政策や財源が伴っていない。女性の登用は徐々に増えても2050年の日本では良くて30%程度でしょう」
「女性活躍」が看板倒れにならないような施策が求められる。
※SAPIO2016年5月号