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73才の女子高生 「パソコンはいまでもできん」

「PCはできん」という73才の女子高生・陣内シヅ子さん

 今年の3月、佐賀県立佐賀北高校の通信制を陣内シヅ子さんという女性が卒業した。このシヅ子さんの年齢はなんと73才だ。

 中学卒業後、高校に進学したいという意志はあったものの、母親が最初から高校に行かせる気がなかったということで、断念していたシヅ子さん。しかし、やはり高校に行きたかった、シヅ子さんは21才のときに同じく佐賀北高校の通信制に入学。ところが、結婚して子供が生まれたことで、退学してしまう。

 それでもやっぱり高校に行きたかったというシヅ子さんは、家族の後押しもあり、2012年4月に再入学した。佐賀北高校の通信制には1500名ほどが在籍している。このうち月2回、日曜日の登校日にきちんと登校して、レポートを提出している活動生は600人ほどだ。

 英語や数学から体育までどのような授業をとるかは各自に任されている。1限目は午前9時に始まり、午前中は100分の授業が2コマ。昼休みをはさんでホームルームがあり、その後100分の3コマ目の授業があって、夕方4時半に終了となる。

 卒業には74単位が必要で、基本的な修業年数は4年だが、3年で卒業する生徒もいる。毎年120名前後の卒業生のうち、3年で卒業するのは多くて2割という。

 ちなみに今年度の入学生の平均年齢は20才前後だった。シヅ子さんはもちろん、この3月の同校の卒業生の中で最高年齢だった。以前とくらべて、久々の高校はどうだったのか?

「いろいろとちごうとった。前はね、先生に言われたらきちんとしよったもんね。今の子はそれをせんね。昔は経済的にきつかったから通信制やったけど、今はちごうもんね。家が貧しいから行かれんじゃなくて、精神的なもので行かれんとかが多かでしょ。それを見て驚いた」(シヅ子さん)

 そんなシヅ子さんの学校生活はどうだったのか? 彼女の担任だった江島薫教諭(39才)はこう振りかえる。

「陣内さんの席はだいたい決まっていました。前から2、3番目でしたね。それも真ん中の列の前から。穏やかな表情ですが、“話は聞き漏らさないぞ”っていう感じで座ってらっしゃいましたね。私は教諭ですが、陣内さんは人生の先輩なので、逆に恥じないようにちゃんとしようって身が引き締まりました」

 江島さんは、これまで全日制の高校ばかりで教えてきて、通信制は今年で3年目。生徒に70代の女性がいると聞いた時には驚きを隠せなかったという。

「ただ、やっぱり高齢のかたでも、学ぶ意欲っていうのは、若い子と同様だなって思いました。年齢は関係ないんです。陣内さんはレポート提出も極めて良好で、期限切れでの提出はゼロでした。

 決して現状に満足せず、常に学ぼうとする意欲、そして生き方は素晴らしく、陣内さんとご一緒できて本当に感謝しています。私自身も頑張らなくちゃと思わされたことが何度もありましたが、それは他の生徒さんでも同じだったようです。

 30才前後の女性なんですが、14年間ぐらい在籍していて、今回陣内さんと一緒に卒業したんです。メールで『シヅ子さんが一生懸命頑張ってる姿を見て自分も頑張ろうって思った』というようなことを言っていました」(江島さん)

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