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中国軍 西沙諸島を大規模埋め立てで原発含む自給体制整備へ

 中国人民解放軍が、南シナ海上で実効支配している西沙諸島(英語名=パラセル諸島)の7つの小島を1つの大きな島にする大規模埋め立て工事を開始していることが明らかになった。また、同諸島の埋め立てが完成すれば、海上浮動式の原子力発電所を建設するという。すでに同諸島最大の永興島に雨水をろ過した飲料用水貯蔵所が完成しており、同島に駐留している数百人の部隊が問題なく生活できる状態になっていることも分かった。

 これは中国共産党機関紙「人民日報」が4月23日の中国人民解放軍海軍創設67周年記念日を祝して、同紙記者を西沙諸島に特派し、現地ルポの形で明らかにした。

 それによると、同諸島の7島のうち「北島」「中島」「南島」を連結するため、昨年から埋め立てを開始し、すでに一部が陸続きになったほか、「趙述島」ではふ頭を建設。同諸島の中心地である永興島と他の島を橋などで接続する工事が進行しているという。

 これにより、同諸島の合計陸地面積は従来の約1平方kmから計15平方kmに増加している。また、永興島には長さ3500メートルの滑走路や港湾が建設され、戦闘機が離着陸できるほか、大型艦船が停泊できるふ頭も間もなく完成する予定。

 島には女性兵士も駐留し、通信業務にあたっているほか、雨水を溜めてろ過し飲用として供給する「雨水班」が活動。中国軍の中で、「雨水班」があるのは同諸島部隊だけだという。

 さらに、魚を捕獲する漁業班や野菜班など部隊の食糧自給体制がすでに整っているほか、インターネット接続も可能な状態になっているなど、中国の軍事基地化に向けて着々と既成事実を積み重ねている。

 西沙諸島では1974年1月、その領有権をめぐって中国軍とベトナム軍が武力衝突。海戦により中国艦隊が南ベトナム軍艦1隻を撃沈し、南ベトナムが支配していた島嶼に部隊が上陸し占領した。その後の地上戦でベトナム軍は約100人が死傷、中国軍は18人が死亡した。

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